初見は3号艇?
まず北部を走るバスを撮影した。農協北部センターバス停で待っていると赤いカラーのバスがやってきた。これがこの10月から運行が始まったコミュニティバス「グルーン」である。
カラーは6色あり、これは前述のとおりボートレースの6艇にちなみ決まったのだという。すなわち白が1号艇、黒が2号艇、赤が3号艇、青が4号艇、黄が5号艇、緑が6号艇という具合だ。
駐車場に入ってきたバスは乗降客がいなかったため、ターンマークでまくり一発を決める…ほどではないが、ぐるっと転回して大野町駅方面へと出て行った。
しばらくして来たバスは、当地が始発となるためしばらく停車の後、市民病院方面へと出発していった。ディーゼル車では最も音が大きくなるのは発進時だが、J6の起動音はとても静かで、さすがEVバスだと感心した。
なお、これら異なるカラーのバスは、行き先の違う別の路線なのだが、バスのカラーと運行系統は一致しているわけではない。
これはバスの充電時間を確保するためで、1台で異なるな路線を走ることで走行距離や充電時間帯を調整するようだ。よって、カラーが決まった行き先の目印ではないので、利用する際には注意したい。
常滑駅は多くの路線が集まる!
次は常滑市役所と常滑市民病院を訪れた。どちらも真新しい建物が出迎えてくれた。市民病院は2015年5月に、市役所は2022年1月に新しい建物に切り替わった。
バス停名は「常滑市役所・市民病院」となっており、停留所は市民病院の入口に近い場所に設置されていて、病院の利用者に配慮したのがうかがえる。なお乗車日は休日だったので乗降する人はほとんどいなかった。
次は常滑駅前のバスターミナルに行ってみた。高架駅なので、バスの待ち時間に名鉄電車がひっきりなしに走っていく姿を見ることができる。
ここには市役所・市民病院からの路線のほか、市南部からの2路線やボートレースとこなめやイオンモール常滑を巡回する路線も乗り入れているため、カラフルなバスを眺めることができる。筆者もこの巡回するバスに乗車してみた。
乗り心地や静粛性
車内は外観からのイメージより広めに感じた他、座席サイズはやや小さめなものの、しっかりと座ることができた。
特徴的なのは、このバスがボートレースファンバスという位置付けなので、運賃が無料であり運賃箱がないことだ。よって入口や出口付近は非常にすっきりした印象だった。
時間になりバスは常滑駅を出発した。まずはボートレースとこなめへと向かう。乗車時間はわずか3分と短い。できればここで下車して運賃代わりに舟券でも……となればよかったのだが、あいにく当日はレースが行われておらず、周辺もがらんとしていたので、引き続き乗車することにした。
ちなみに車内はとても静かで、会話はもちろん携帯やカメラの電子音まで運転手に聞こえるのではないかと思うくらいの静粛性だった。
次のイオンモール常滑は駐車場が有料なのでゲートが設置されている。チケットを受け取るのかと思って見ていると、機械の下の方にインターホンがあり、そこで事務所と連絡することにより、ゲートを上げて通過した。ただし、運転席の位置が若干高いため、インターホンの呼び出しボタンに手が届かない。
そこで用意されていたのが、運転席の横に置かれていた「棒」である。恐らく自作されたものであろうが、これを伸ばしてボタンを押して会話していた。試運転の際に試行錯誤しつつ、いろいろな棒で試したのではないかと想像できる。最新のEVバスで見た意外なアナログな部分だった。
イオンモール常滑に到着したので下車した。停留所は店舗とは少し遠いようにも思えたが、ボートレース事業局としてはボートレース場の「モーヴィとこなめ」、イオンモールの「きゅりお」、セントレアの「フライト・オブ・ドリームス」という親子向けの3施設での連携した取組みで、エリアとしてPRを目指しているとのことで、その観点では「きゅりお」の入口に近い当地が選ばれたのではないかと察する。