夜行バスの魅力といえば何を思い浮かべるだろうか。 寝ている間に移動して朝になれば目的地に着いている、運賃が安い、また最近は乗り心地など快適性を売りにしているバスもあり多種多様だ。今回は夜行バスの楽しみ方として一味違った「マニア」を感じることのできるので紹介しよう。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
出発は名古屋から!!
場所は愛知県名古屋市、名古屋駅である。JRハイウェイバス乗り場のある太閤口から出口に向かうと、23時前という時間にも関わらず多くの人で賑わっていた。
この時間になると、当地から多くの夜行バスが各方面へ出発していくからである。今回乗車するバスはJRハイウェイバス乗り場からではなく、隣の広場から出発する。
通称「ゆりの噴水前」と称する広場で、旧ツアーバス系高速バス利用者にはおなじみの場所である。案内係員が絶えずバスの愛称や時刻をアナウンスしている。
まずは自分がこれから乗車するバスの愛称などを確認して出発の案内があるまで待つという流れである。筆者も係員の呼び出しがあるまで近くで待機することとした。
23時すぎに係員の乗車案内が始まった。出発便が多いので、バスは違う場所で待機しているということであった。よって係員の先導に付いていく形で移動する。駅の北側まで歩いていくとバスが並んでいる所に到着した。こちらが今回乗車するグレースライナーである。
車両はごく一般的なハイデッカー
このバスは東京と関西・名古屋を結んでいる路線で、名古屋を出ると明朝に横浜・新宿・池袋と停車する。乗車前に荷物を預けて、バスの入口に貼ってある座席表で自分の座席を確認して着席するタイプだ。
車内は4列のシート配列だが縦10列で、シートピッチを広めに取ったタイプで座席もフルリクライニングすることが可能だという。
しかも既に全席の座席が倒した状態で回送してくるので、後ろの乗客に一声かけなくてもいいようになっている。また4列だが隣が気にならないように仕切りカーテンも設置され、他の視線を気にすることなく眠ることが可能だ。
お休み前にはわかる人にはわかる!? ビッグイベント
乗車が終わればいよいよ出発である。出発予定時間の23時15分すぎ、バスが動き出した。夜行バスなので一般道から高速へ上がり、車内灯も消灯……という流れになるのだが、イヤホンを着ける前にもう少しだけ待っていただきたい。
バス車内では到着時刻や車内設備の案内、注意事項などがある。これらを運転手が少しアナウンスした後は、自動音声のアナウンスが流れる。それ自体は珍しいというわけでもないが、この女性の声に何か聞き覚えのある方はおそらくそれは正解だ。
実はこの声、声優の清水愛さんが担当しているということで、その界隈ではちょっと有名なバス会社なのである。清水愛さんは声優のほか歌手や舞台女優からプロレスラーという異名の肩書きを持つ声優さんである。
これまでにも多くの作品に出演しているが、筆者には『おねがい☆ツインズ』の小野寺樺恋役が今でも印象に強く残っている。