どこで待てば良いのやら……
雨足が強まり外での観光は流石に厳しく、散策も手短に道の駅へ逃げ戻る。「道の駅」の中では大変かわいらしい規模で、物産品販売コーナーとカフェ、ミニスーパーの3軒が営業している。少し離れた駐車場エリアに、休憩スペース兼トイレの建物がある。
カフェで時間調整中にふと気づいたことがあった。道の駅グリーンロード大和停留所では、来た道を戻る江津方面の車線にだけバス停の標識が立っていて、三次方面へと続く反対車線には何も置かれていないのだ。
バス停標識には赤名駅行きバスの時刻表も掲示されており、それならバス停標識側の車線が乗り場になるのだろうと考えて、標識の前で待つ。
出発時刻の13:50が近づくと、道の駅の駐車場で待機していた赤名駅行き飯南町生活路線バスの青い日野ポンチョが道路に出てきた。しかし赤名駅行きの進行方向は見事に三次方面の車線だった。最も悪夢を見るパターンである。
道路を挟んで、ちょうどバス停標識がある真向かいあたりに立っていれば停まってくれたのだろうが確証はない。バス停標識の有無だけでなかなか不安感を増大させてくれるものだ。
結局のところ手を上げて停まってもらい、他のクルマが来ていないのを猛烈にチェックしてから道路の反対側まで移動して乗車した。どこで待つのが正解だったのやら?? 苦労が絶えない。
山を登るコミバス
飯南町生活路線バス 谷・赤名・頓原線はコミュニティバスの一種だ。道の駅グリーンロード大和〜赤名駅までの約12kmを25分ほどで結んでいる。停留所の数は19カ所。
「生活路線バス」の名称が物語るように、地元住民の生活の足を支えるのが主要目的の公共交通機関だ。とはいえデマンド交通を除く定期運行の路線なら誰でも利用できる。
バスは時刻通りに道の駅を発車した。始発時点で他の利用者はいなかった。国道375号線を三次方面へ400mくらい進むとバスは左に曲がり県道55号線に入る。赤名駅までのメインルートだ。
55号線に入るとすぐ、やや狭い道幅の曲がりくねった登り坂が続くようになる。峠越えをするのかと思いきや、途中に下り坂はほとんどなく、山岳路線の装いに近いかもしれない。
実際にぐんぐん高度を稼いでいるようで、数日前から降り積もった雪の量が進むに連れて増えていき、あれよあれよと一面の銀世界に変わった。
(当日は雪景色ながら)緑の多いエリアを走行するが、民家が途切れて無人地帯になる区間は極めて少ない。赤い瓦屋根の家々が建ち並ぶ様子は中国地方ならではの見どころだ。
10kmほど進むと勾配を登り切り、前方の視界が開けてくる。標高にすると450m程度、出発点より360mくらい高い場所まで来たことになる。
ほぼ平坦線になった県道55号線から数分で国道54号線に移り赤名の町へ入る。バスは時間通り14:15に終点の赤名駅バス停に到着した。
運賃は通しで400円。最初から最後までほかに利用者はいなかった。
江津からおよそ80km、三江線代替バスの旅も大詰め。次で最後のバスとなる備北交通赤名線が来るまで、飛行機に乗るんじゃあるまいし、とばかりにまた長い時間を潰す……必要はそれほどなくキレイにつながり、約15分の連絡だ。
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