スズキを軽自動車だけじゃないメーカーへと推し進めた大変革! 2000年代の大きな決断が決め手!!

スズキを軽自動車だけじゃないメーカーへと推し進めた大変革! 2000年代の大きな決断が決め手!!

 今のスズキのイメージは「小型車」のメーカーだろう。しかし四半世紀前まで、スズキは「軽自動車」のメーカーだった。ソリオ・スイフト・フロンクスなど、魅力的な登録車が増えたスズキ。この転機はどこにあったのか。スズキの大革新の秘密に迫る

文:佐々木 亘/画像:スズキ、ベストカーWeb編集部

【画像ギャラリー】スズキの未来を変えた!? スイフト、SX4、そしてエスクードが2000年代スズキに華を添えた!(16枚)画像ギャラリー

販路拡大の末に目指した「世界」

2004年登場のZC11S系スイフトはまさにスズキの歴史を変える名車となった
2004年登場のZC11S系スイフトはまさにスズキの歴史を変える名車となった

 まず2001年。スズキは日産自動車と軽自動車のOEM供給についての基本合意を行う。当時、国内4輪市場の3割を占めていた軽自動車市場への参入を図った日産が、マーケットリーダーであるスズキに協力を依頼した結果実現したものだが、これにより当時のスズキはGMと日産という大きな提携パートナーを手に入れたのだ。

 そして2004年、スズキのクルマを大きく変えるきっかけとなった、あのクルマが登場する。そう、ZC11S型スイフトである。

 スイフトはデザインと走行性能を高い次元で両立させた世界戦略車となった。プラットフォームは軽自動車からの流用をやめ専用設計に移行。欧州で、デザインと走行性能を入念に練り上げている。

 先代のスイフトに比べて、全長80mm・全幅90mmの拡大となり、FFの専用プラットフォームでワイドトレッド化されたスイフトは、これまでのスズキ車には少なかった「運転して楽しいクルマ」になっていたのだ。

 登録車にここまで力を入れるというのは、90年代のスズキからは想像できなかったことだ。スズキのクルマを日本へ、そして世界へ届けるという強い思いが、スズキを大きく変えるきっかけとなった。

軽自動車シェア争いから一歩下がって販売店の利益を増やす施策に出る

2006年登場SX4(左)。翌年、SX4はセダンがラインナップに。奇しくもその年に軽自動車年間販売台数トップをダイハツに渡す。写真右側はダイハツ ヴィーゴ
2006年登場SX4(左)。翌年、SX4はセダンがラインナップに。奇しくもその年に軽自動車年間販売台数トップをダイハツに渡す。写真右側はダイハツ ヴィーゴ

 2006年、国内の軽自動車販売台数が初めて200万台を突破したこの年に、スズキは34年連続で軽自動車年間販売台数1位となった。しかし翌年にはライバルのダイハツへ、トップの座を明け渡すこととなる。

 この首位交代は、スズキの力が劣っていたから起きたわけではない。

 2004年のスイフト登場以降、スズキは登録車(小型車)のラインナップに力を入れていた。2006年には小型SUVのSX4が登場し、当時はスイフト・SX4・エスクードという盤石の布陣で、登録車の販売を強化していったのだ。

 さらに国内販売においても改革に打って出る。販売店の収益を重視して、在庫車を販売登録した後に新古車(登録済み未使用車)にして販売するという、軽自動車ディーラーではお馴染みの手法を禁止した。

 登録済み未使用車を作ることで、国内シェアは伸ばせるが、販売店の利益は圧縮してしまう。国内シェアは二の次にして、販売現場に余力を生み出したことで、スズキの登録車販売は加速していった。

 こうして、以降7年間はダイハツに軽自動車のトップシェアを明け渡すが、2014年にはスズキの販売施策が結実し、熾烈なトップ争いの結果、スズキが8年ぶりに軽自動車販売で首位に返り咲いたのだ。

 軽自動車のトップメーカーは、登録車販売でも順調に台数を伸ばした。軽自動車だけではないスズキが、ここに誕生する。

現状に満足せず挑戦を続けるのがスズキの力

宣伝しなくても売れるとまで言われた!? 2025年登場ジムニーノマド
宣伝しなくても売れるとまで言われた!? 2025年登場ジムニーノマド

 アルト・ジムニー・スペーシア・ハスラーなど、魅力的な軽自動車が現在もある中で、クロスビー・ジムニーノマド・スイフト・ソリオ・フロンクスといった小型登録車の勢いも凄まじいスズキのクルマたち。スイフトやソリオは、すっかりスズキの顔になった。

 現在の好調な販売の理由は、変革を恐れず実行した2000年代の英断にある。故 鈴木修氏の徹底した現場主義と多彩なアイディアは、現在のスズキにも存分に引き継がれているのだ。

 変わることを恐れない、スズキの姿勢。これが、スズキの原動力なのだろう。

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