ランクルプラドなど「大きめSUV」が狭い日本で売れる3つの理由

ランクルプラドなど「大きめSUV」が狭い日本で売れる3つの理由

 SUVの人気は日本だけでなく、世界的に継続している。都会派のSUV風ビークルから本格派オフローダーまで、SUVブームはまだまだ続くとみて間違いないだろう。

 日本では都市部の道路事情からコンパクトSUVが人気の中心を担っているが、全幅が1800mmを超える「中型サイズ以上」のSUVにも高いニーズがある。

 「全幅1800mm」はどこか消費者にも聖域のような数値であるのにそれを超えるSUVたち。決して手頃で取り回しやすいとはいえない「大きめSUV」の人気の秘密を探ってみた。

文:永田恵一/写真:TOYOTA、HONDA、NISSAN、MAZDA

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■今や全幅1800mm超えは当たり前!? 気がつけば大型化はスタンダードに

2020年8月に一部改良されたランドクルーザープラド。全幅1800mm超えという車格にも関わらず販売台数は月平均1300台と好調だ

 8月初めにトヨタの本格クロカンSUVのランドクルーザーファミリーの中では普及クラスとなるランドクルーザープラド(以下プラド)が一部改良された。

 プラドは09年9月登場ともうすぐ12年目となるモデルなのに加え、価格は360万円台からという高額車にも関わらず、今年1月から6月までの販売台数は約8000台、月平均約1300台と好調である。

 プラドの好調はプラドが本格クロカンSUVらしい魅力を保っていることやリセールバリューの高さが大きな理由だが、ふとプラドのボディサイズを見ると全長4825mmと全高1855mmはともかく、1885mmの全幅は日本では「何とか使えるけど大きい」という印象だ。

 プラドの全幅が大きいのはSUVの中でもマニアックなモデルだけに大きな問題はないが、SUVの全幅はミドルクラスでもRAV4、ハリアー、CR-Vが1855mmと、気づくと1850mmがスタンダードとなっている。

 ここでは日本でボディサイズの大きいクルマは使いにくいにも関わらず、ミドルクラス以上のSUVの全幅が1800mmを超えるのが当たり前なのにバンバン売れている理由を考えてみた。

■大きいクルマは売れないという先入観を覆す初代CX-5の好調

ミドルSUVで全幅1800mmを大きく超えてきたのはマツダCX-5初代モデル。1800mmオーバーは売れないのではないかという先入観を覆して好調に売れ、今や全幅1800mm越えは当たり前となった

 ミドルSUVで全幅1800mmを大きく超えてきたのは2012年登場のマツダCX-5の初代モデルの1840mm(現行型2代目モデルも同じ)だったと思う。

 初代CX-5の全幅に対して「クラウンが全幅1800mmを守っているように、日本で販売される量販車で全幅1800mmオーバーは売れないのではないか」という一部ユーザーや自動車メディアの意見も少なくなく、大きいクルマがあまり好きではない筆者もそう思っていた。

 しかし初代CX-5は好調に売れ、ミドルSUVの全幅は1800mm越えが当たり前となった。

 その理由を考えてみると

●ベースとなるミドルクラスの乗用車の全幅の拡大

 これはメーカーの都合だがRAV4とハリアーのベースとなるカムリの全幅は1840mm、CR-Vのベースとなるシビックの全幅も1800mmまで拡大しており、乗用車以上に太いタイヤを履くことも多々あるSUVの全幅がさらに広がるのは当然と言えば当然かもしれない。

●ユーザーは都市部の人ばかりではない

 都市部でボディサイズの大きいクルマが使いにくいのは確かだ。そのため日本は首都東京に約1400万人が住んでいるだけに、そういった声が大きいのも分かる。

 しかし大都市圏から100kmも離れた郊外に行けば道路、駐車場ともに広いというところも珍しくない。そんな地域なら茨城県にいる筆者の親族がハイエースのスーパーロングに仕事で毎日乗っていてもそれほど問題ないのと同様に、ボディサイズを気にしない人も相当数いるのではないかと思う。

●SUVなら乗ってしまうと意外に全幅が気にならないから

 それでも数値的なボディサイズを気にする人はいるだろう。しかしSUVなら幸いにも着座位置が高く、ボディ形状もボクシーなことが多いため幅や長さが掴みやすく運転しやすいため、全幅1800mm以上のSUVを受け入れる人も多いように感じる。

次ページは : ■SUVブームも一因? これ以上大きくなると取り回しに影響も!?

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