全国各地で猛暑日が続いている。陽射しの強さは最強レベルで、1時間以上日向に駐車していると車内の温度は70℃を超えることも珍しくない。
クルマに戻ってハンドルを触ると「アチッチ」と火傷しそうになるほど危険な状態だ。
そうなったら乗車して移動するのも大変。始動後すぐにエアコンからの冷風は吹き出し始めるが、車内全体が冷えるまでは、かなり時間がかかる。
ではどうすれば早く車内の気温を下げることができるのか? モータージャーナリストの高根英幸氏が、酷暑日にエアコンを効率よく使って車内温度を冷やす方法を徹底解説する。
文/高根英幸
写真/高根英幸 ベストカーweb編集部
トビラ写真(Monika Wisniewska@Adobe Stock)
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車内の温度が下がりにくいミニバンを使って実験!
35℃を超える酷暑日が続いている。こんな日に、外の駐車場に1時間以上も停めておけば車内の温度は50℃以上に達し、死の恐怖すら感じるほどのレベルだ。
そこで、熱くなった車内をエアコンを使って効率良く冷ます方法をいろいろと解説していきたい。
まずはエンジンを始動したら窓を全開にして、エアコンも外気導入で温度を最低にしてファンは最強にする。
最初は冷気をシートに向けてシートを冷やし、シートが冷えてきたら室内の温度も少しは下がっているハズだ。
最初に助手席の窓を全開にして、運転席のドア(窓は閉めたまま)を大きく4、5回開閉することで、室内の熱い空気を追い出すという方法もある。
ただし、室内の広いミニバンでは、効果はそれほど望めない。それにあまり勢いよくドアを閉めるとドアやウインドウ周りを傷めてしまうクルマもあるので、注意が必要だ。
だからといってゆっくり開閉したのでは、効果がないので実行するなら加減には気を付けたい。
実際に炎天下にクルマを放置した後、車内の温度を計測しながら冷やしてみた。
もし近くに日陰があるなら、この少し室内が冷えた時点で日陰に移動し、ドアを開けて熱気を逃がすといい。
日陰がなければドアやリアハッチなどを全て開け、熱気を追い出してやろう。エアコンだけに頼らず、自然風を利用するのは燃費と時間の節約になる。日陰に入れるのは、それ以上クルマを熱することを防ぐことになるのだ。
空気というものは断熱効果が高く、直接冷やしたり暖めたりするのは結構難しい(だからエアコンの素晴らしさが理解できるだろう)。
内装などが熱いままでは、なかなか室温全体を下げることは難しいから、空気を入れ替えたら、内装を冷やすことを心がけると、効率良く室温を下げることができる。
エアコンはダクト内部の熱気を追い出し、ダクト内の温度を下げることで、より冷たい風を作り出すことになる。
だから最初は外気導入でエアコンのシステム自体を冷やし、エアコンが冷えれば車内の熱い空気を冷房の空気と入れ替えることで、室内の熱気を追い出してやるといい。
40℃くらいまでは比較的外気温より少し高いくらいになったらリアドアを先に閉めて、フロントからリアハッチへと空気の流れを作って熱気を追い出すのも効果的だ。その後ドアを閉め、内気循環でファンの強さを少し下げる。
風が強い方が速く室内が冷えると思う人も多いだろうが、前述の通り空気は冷えにくいので、風量を最大にしていると充分に冷やしきれないままダクトへと送り出されてしまう。
空気の入れ替えが完了して内気循環にしたら、ファンの速さを少し落として風量を絞った方が風は冷たくなるので、乗員にとっても快適だし、速く車内を冷やすことにもつながるのだ。
車種によって最適なファンの速さはあるだろうが、こうした傾向は共通している。
シートやステアリングなどが冷えたら、走りながら室内を冷やす方が燃費にも移動時間のロス削減にも役立つ。
アイドリング状態では、コンプレッサーの回転もゆっくりで冷媒の圧力も上がり切らないし、電動ファンだけでコンデンサーを冷やしているから冷媒の冷却も充分ではない場合もある。
走ることでエンジン回転は上昇してコンプレッサーの回転も速くなって冷媒をどんどん圧縮してくれるし、走行風でコンデンサーも冷やされるから、グングンとダクトからの冷風は冷たくなっていくハズだ。
なお室内に噴射して気化熱で冷やすスプレーもシートやステアリングを直接冷やすなら効果はあるが、可燃性のガスを使っているモノもあるので、取り扱いには注意が必要だ。実際に爆発事故も起きているのだ。
2020年8月19日、広島県福山市で突然信号待ちのトラックが爆発。車内で冷却スプレーを使った後にタバコに火をつけ、充満した冷却スプレーに引火したのが原因だった。
熱さを我慢できるのであれば、車内の熱い空気を追い出した後で、すぐに走り出し、ダクトから吹き出る冷風が冷えてきたら内気循環に切り替えて、エアコンシステムの冷房能力をフルに引き出してやる方法が一番早く冷やす方法だ。
ただし、室内の気温は下がっても、内装の熱は下がり切っていないから、身体が接する部分や近くにあるモノからの熱気はなかなか収まりにくい。
程度問題だが、内装があまりに熱い状態で乗り込んで走るのは、不快だし危険なので気を付けよう。
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