暑くて死にそう なんとかして! 酷暑日に素早く冷やすエアコンの正しい使い方

暑くて死にそう なんとかして! 酷暑日に素早く冷やすエアコンの正しい使い方

 全国各地で猛暑日が続いている。陽射しの強さは最強レベルで、1時間以上日向に駐車していると車内の温度は70℃を超えることも珍しくない。

 クルマに戻ってハンドルを触ると「アチッチ」と火傷しそうになるほど危険な状態だ。

 そうなったら乗車して移動するのも大変。始動後すぐにエアコンからの冷風は吹き出し始めるが、車内全体が冷えるまでは、かなり時間がかかる。

 ではどうすれば早く車内の気温を下げることができるのか? モータージャーナリストの高根英幸氏が、酷暑日にエアコンを効率よく使って車内温度を冷やす方法を徹底解説する。

文/高根英幸
写真/高根英幸 ベストカーweb編集部
トビラ写真(Monika Wisniewska@Adobe Stock)

【画像ギャラリー】炎天下ではエンジン停止後15分で熱中症危険レベルになる!


車内の温度が下がりにくいミニバンを使って実験!

気温35度を記録した猛暑日に屋外の駐車場に1時間半駐車した
気温35度を記録した猛暑日に屋外の駐車場に1時間半駐車した
駐車後1時間半で車内の気温は31℃から53.8℃まで上昇した
駐車後1時間半で車内の気温は31℃から53.8℃まで上昇した

 35℃を超える酷暑日が続いている。こんな日に、外の駐車場に1時間以上も停めておけば車内の温度は50℃以上に達し、死の恐怖すら感じるほどのレベルだ。

 そこで、熱くなった車内をエアコンを使って効率良く冷ます方法をいろいろと解説していきたい。

 まずはエンジンを始動したら窓を全開にして、エアコンも外気導入で温度を最低にしてファンは最強にする。

 最初は冷気をシートに向けてシートを冷やし、シートが冷えてきたら室内の温度も少しは下がっているハズだ。

 最初に助手席の窓を全開にして、運転席のドア(窓は閉めたまま)を大きく4、5回開閉することで、室内の熱い空気を追い出すという方法もある。

 ただし、室内の広いミニバンでは、効果はそれほど望めない。それにあまり勢いよくドアを閉めるとドアやウインドウ周りを傷めてしまうクルマもあるので、注意が必要だ。

 だからといってゆっくり開閉したのでは、効果がないので実行するなら加減には気を付けたい。

 実際に炎天下にクルマを放置した後、車内の温度を計測しながら冷やしてみた。

ダッシュボードは日向に10分置いていただけで50℃を超えたが1時間半後には72℃に。エンジンを始動し、エアコンを冷房最強にして外気導入としてエアコン内の熱気を排出しながら助手席の窓を開け、運転席を5回開閉した。これだけで室温は5℃以上下がり、50℃を切った
ダッシュボードは日向に10分置いていただけで50℃を超えたが1時間半後には72℃に。エンジンを始動し、エアコンを冷房最強にして外気導入としてエアコン内の熱気を排出しながら助手席の窓を開け、運転席を5回開閉した。これだけで室温は5℃以上下がり、50℃を切った
エアコンダクトの温度は送風開始時は36℃だったが、10秒ほどで22℃まで下がった。このあたりは車種や気象条件などによって変わるが、まずはエアコン内部を冷やすことも大事だ
エアコンダクトの温度は送風開始時は36℃だったが、10秒ほどで22℃まで下がった。このあたりは車種や気象条件などによって変わるが、まずはエアコン内部を冷やすことも大事だ

 もし近くに日陰があるなら、この少し室内が冷えた時点で日陰に移動し、ドアを開けて熱気を逃がすといい。

 日陰がなければドアやリアハッチなどを全て開け、熱気を追い出してやろう。エアコンだけに頼らず、自然風を利用するのは燃費と時間の節約になる。日陰に入れるのは、それ以上クルマを熱することを防ぐことになるのだ。

シートが冷えたのを待って日陰に移動。ドアとリアハッチを開けて熱気を追い出す。その後リアドア、フロントドアを閉めてエアコンからの冷風でリアハッチから熱気を排出させるようにした。ここまでエンジン始動から10分弱。室温は40℃まで下がり、さらに2分後には38℃まで下がった
シートが冷えたのを待って日陰に移動。ドアとリアハッチを開けて熱気を追い出す。その後リアドア、フロントドアを閉めてエアコンからの冷風でリアハッチから熱気を排出させるようにした。ここまでエンジン始動から10分弱。室温は40℃まで下がり、さらに2分後には38℃まで下がった

 空気というものは断熱効果が高く、直接冷やしたり暖めたりするのは結構難しい(だからエアコンの素晴らしさが理解できるだろう)。

 内装などが熱いままでは、なかなか室温全体を下げることは難しいから、空気を入れ替えたら、内装を冷やすことを心がけると、効率良く室温を下げることができる。

 エアコンはダクト内部の熱気を追い出し、ダクト内の温度を下げることで、より冷たい風を作り出すことになる。

 だから最初は外気導入でエアコンのシステム自体を冷やし、エアコンが冷えれば車内の熱い空気を冷房の空気と入れ替えることで、室内の熱気を追い出してやるといい。

 40℃くらいまでは比較的外気温より少し高いくらいになったらリアドアを先に閉めて、フロントからリアハッチへと空気の流れを作って熱気を追い出すのも効果的だ。その後ドアを閉め、内気循環でファンの強さを少し下げる。

 風が強い方が速く室内が冷えると思う人も多いだろうが、前述の通り空気は冷えにくいので、風量を最大にしていると充分に冷やしきれないままダクトへと送り出されてしまう。

 空気の入れ替えが完了して内気循環にしたら、ファンの速さを少し落として風量を絞った方が風は冷たくなるので、乗員にとっても快適だし、速く車内を冷やすことにもつながるのだ。

 車種によって最適なファンの速さはあるだろうが、こうした傾向は共通している。

アイドリングで停止している状態ではエアコンダクトの温度は内気導入でもファンを最大にしていると20℃程度、1段ファンの速度を弱めると17.9℃まで下がった。さらにファンを弱めると15℃まで下がったがこれでは風量が弱く周囲の熱を集めてしまうので室温を下げる効果は薄い
アイドリングで停止している状態ではエアコンダクトの温度は内気導入でもファンを最大にしていると20℃程度、1段ファンの速度を弱めると17.9℃まで下がった。さらにファンを弱めると15℃まで下がったがこれでは風量が弱く周囲の熱を集めてしまうので室温を下げる効果は薄い

 シートやステアリングなどが冷えたら、走りながら室内を冷やす方が燃費にも移動時間のロス削減にも役立つ。

 アイドリング状態では、コンプレッサーの回転もゆっくりで冷媒の圧力も上がり切らないし、電動ファンだけでコンデンサーを冷やしているから冷媒の冷却も充分ではない場合もある。

 走ることでエンジン回転は上昇してコンプレッサーの回転も速くなって冷媒をどんどん圧縮してくれるし、走行風でコンデンサーも冷やされるから、グングンとダクトからの冷風は冷たくなっていくハズだ。

アイドリングで停止中ではエアコンの冷房能力も限られる。そこで、40℃を切った時点で駐車場を出て、一般道を走行しながら室内を冷やした。ダクトの温度は8℃まで下がった
アイドリングで停止中ではエアコンの冷房能力も限られる。そこで、40℃を切った時点で駐車場を出て、一般道を走行しながら室内を冷やした。ダクトの温度は8℃まで下がった
1500rpm程度の巡航でもアイドリングと比べればコンプレッサーは2倍の速さで駆動されており、走行風によってコンデンサーは冷やされ、冷房の能力は格段に向上する。ダクトの温度は8℃まで下がり、室温は33℃まで下がった。ここまでエンジン始動から30分ほどを要した
1500rpm程度の巡航でもアイドリングと比べればコンプレッサーは2倍の速さで駆動されており、走行風によってコンデンサーは冷やされ、冷房の能力は格段に向上する。ダクトの温度は8℃まで下がり、室温は33℃まで下がった。ここまでエンジン始動から30分ほどを要した

 なお室内に噴射して気化熱で冷やすスプレーもシートやステアリングを直接冷やすなら効果はあるが、可燃性のガスを使っているモノもあるので、取り扱いには注意が必要だ。実際に爆発事故も起きているのだ。

 2020年8月19日、広島県福山市で突然信号待ちのトラックが爆発。車内で冷却スプレーを使った後にタバコに火をつけ、充満した冷却スプレーに引火したのが原因だった。

 熱さを我慢できるのであれば、車内の熱い空気を追い出した後で、すぐに走り出し、ダクトから吹き出る冷風が冷えてきたら内気循環に切り替えて、エアコンシステムの冷房能力をフルに引き出してやる方法が一番早く冷やす方法だ。

 ただし、室内の気温は下がっても、内装の熱は下がり切っていないから、身体が接する部分や近くにあるモノからの熱気はなかなか収まりにくい。

 程度問題だが、内装があまりに熱い状態で乗り込んで走るのは、不快だし危険なので気を付けよう。

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