北海道留萌市在住の写真家・佐藤圭さんが撮った貴重な動物、風景写真をお届けする週末連載。
北海道の春は、野生動物たちにとっては子育ての季節です。今週から2週にわたって「動物の赤ちゃん」シリーズをお送りします。その第一弾は、「第13回 フクロウのヒナ」です。
都会では、フクロウカフェで間近でフクロウに触れることができるようですが、山で野生のフクロウを観察する際は、距離を保ち、遠くから望遠レンズで観察するのが鉄則です。
フクロウ科の鳥は、「森の忍者」の異名を持ち、小鳥やネズミ、リス、モモンガたちにとっては恐ろしい天敵です。
でも、生まれたてのヒナは、ふわっふわの産毛に被われ、つぶらな瞳が愛らしさ満点です。見る人を微笑ませずにはおかない姿をご堪能ください。
写真・文/佐藤圭
画像ギャラリー……エゾフクロウ、トラフズク、アオバズクのヒナ
まるで妖精! でも成長すれば、森の忍者
野生動物たちの子供はどれも可愛いですが、鳥類、中でもフクロウ類の赤ちゃんは四つ足動物に負けないくらい可愛いです。ふわふわの綿菓子のような産毛に覆われた姿は妖精です。最大の魅力はクリクリの大きな目だと思います。
エゾフクロウは、北海道では比較的身近な野鳥です。公園や神社に巣を持ったり、道路脇の電線などに止まっていることもあります。夜行性なので、昼間は一日中、巣の中で寝ています。
5月、6月になると、各地で、どんどんヒナが生まれます。
エゾフクロウの子育ては、オスメス共同で狩りをしてエサをヒナに与えます。エサは、ネズミや小鳥ですが、ときにエゾリスやエゾモモンガなども捕まえます。
獲物に音もなく近づき、鋭い爪で一掴みにして絞め殺します。捕まった動物は捕まったことに気づいていないかもしれません。まさに「森の忍者」です。
日本最大のフクロウ、シマフクロウは、60〜70センチの大きな体が入る大木の樹洞が必要ですが、森林伐採で巣となる木が減ってしまっているため、人工的に作られた巣を利用している個体もいます。フクロウたちは、豊かな自然がないと子育てができず、どんどん減っていくことになります。
フクロウたちが命を繋いでいくためには、我々、人間が彼らの生活圏である森を守る意識が大事だと思います。
佐藤 圭 Kei Satou
1979年、北海道留萌市生まれ。動物写真家。SLASH写真事務所代表。フランスのアウトドアブランド「MILLET」アドバイザー。
日本一の夕陽と称される留萌市黄金岬の夕陽を撮影するために写真家の道に入る。北海道道北の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。
2018年、エゾナキウサギの写真「貯食に大忙し」で第35回『日本の自然』写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会)で最優秀賞受賞。
ウェブサイト:https://www.keisato-wildlife.com/
Facebook:https://facebook.com/kei.sato.1612
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