クルマに関する記事ではよく目にすることのある「プラットフォーム」という言葉。クルマの骨格とも言うべきプラットフォームは、同メーカーはもちろん、グループメーカーのなかで共有されるケースも多い。主にコスト面でのメリットにより同じプラットフォームが使用されるのだが、実は良いことばかりではないのも事実。
この記事では、プラットフォーム共有による成功例を見ていくと同時に、うまくいったとは言えないモデルも紹介し、そのメリット・デメリットを考えていきたい。
文/長谷川 敦、写真/ホンダ、日産、ポルシェ、フォルクスワーゲン、アウディ、ランボルギーニ、マツダ、Newspress UK
【画像ギャラリー】似てる? 似てない? プラットフォームが同じクルマたち
そもそもプラットフォームとはどういうもの?
プラットフォーム(Platform)とは、日本語で足場や乗降台などを意味する言葉で、駅の「00番ホーム」という呼び方はこのプラットフォーム(ホーム)からきている。つまり平たく言えば「台」のこと。自動車では車体を構成する基本的なフレームと、その周辺パーツを合わせてプラットフォームと呼ぶことが多く、「シャシー」と同義で使われることもある。
プラットフォームはクルマの基本となる部分のため、普段は目にすることができず、その上に装着されたボディによってどの車種なのかを見分けることができる。これはつまり、違う車種であっても実はプラットフォームが同じだったというケースも多いことを示している。
トヨタGR86やスバルBRZのように、明らかに兄弟車であることがわかる場合はプラットフォームを共有しているのも理解しやすいが、アウディR8とランボルギーニ ウラカンが実は同じプラットフォームを使っているというと、驚く人もいるだろう。
近年では自動車メーカーのグループ化が進み、コスト削減という観点からもプラットフォームを共有するケースは増えている。だが、それはクルマの没個性化を招く危険もあることは知っておいて損はないだろう。
Nシリーズ共通プラットフォームで大ブレーク! 「ホンダN-BOX」
ホンダから2011年に登場した新型軽自動車のN-BOXは「もう一度、客室(キャビン)から設計をはじめました。」というキャッチフレーズのもと、軽自動車用プラットフォームをゼロから設計したことで話題を集めた。軽自動車では難しいとされる、ゆったりとした室内空間と荷室を確保して、走りの面でも妥協しないコンセプトで登場したN-BOX。
フラグシップのN-BOXを筆頭に、荷室スペースの床形状を変更して荷物の積み下ろしを容易にし、車イスでの乗り降りも考慮したN-BOX+が加わり、さらにはルーフ高を下げてスポーティなイメージにしたN-BOX SLASHも登場。共通プラットフォームのメリットを最大限に活用してみせた。
2012年にはより全高を下げ、ハッチバック風スタイルをまとった派生モデルのN-ONE、2013年にミニバンスタイルのN-WGNも誕生。Nシリーズ共通プラットフォームのモデルはバリエーションを拡大し、そのいずれもが人気モデルとなった。
驚異的なセールスを記録した初代Nシリーズは2020年にすべてのモデルが販売終了となったが、後継モデルの2代目N-BOXは2017年に登場し、こちらも高い評価を得ている。今後は2代目のプラットフォームを使用する派生モデルの登場も期待できる。
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