■こちらも財閥系のアショク・レイランド(ASHOK LEYLAND)
アショク・レイランドは、インド三大財閥のひとつ、ヒンドゥージャ・グループ傘下の商用車専業メーカーで、1948年設立のアショク・モータースを前身とする。
中大型トラック市場シェアは約3割で2位だ。50年に英のレイランド・モータースと提携し、中型トラック「コメット」の輸入・組立そして現地生産を開始、55年にレイランドが出資した。
80年にインド初の13t積車「タスカー」と3軸車「タウラス」を発売。87年にレイランド分の持ち株をヒンドゥージャの多国籍事業部門とイヴェコで共同購入し、同年発売の中型トラック「カーゴ」からイヴェコ技術が導入された。その前年の86年から日野のエンジン技術も導入している。
2006年にイヴェコ側持ち株を購入して完全子会社化、チェコの商用車メーカー・アヴィアを買収し、中型トラック「ボス」をラインナップに加えた。
17年にはBS Ⅵ適合エンジン技術の導入で、再び日野と提携している。
■三菱自動車も設立に一役買ったアイシャー(EISCHER)
アイシャー・モータースは、1982年、農業トラクター製造会社・アイシャー・グッドアースと三菱自工などの共同出資により設立された。
その背景には、自動車産業を近代化する国策があった。現在は中大型車でシェア約1割の3位である。86年に小型トラック・キャンターの現地生産を開始、94年に国産化を完了した。
三菱自工の技術支援は終了したが、アイシャー製キャンターは同国市場で大いに普及した。
08年に、ボルボグループと合弁会社VEコマーシャルビークルズ(VECV)を設立、トラック事業を移管するとともに、現地向けトラックの開発・生産とボルボ中型エンジンの生産拠点の任も担うことになった。
16年、中大型トラックがVECV開発の「プロ3000」「プロ6000」とUDクエスターの同型車「プロ8000」に一新された。
■バーラト・ベンツ(BAHRAT BENZ)
バーラト・ベンツは、2011年にダイムラートラック・アジア(DTA)のインド市場におけるブランドとして発足。そのトラック・バス製品は、チェンナイのダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークルズ(DICV)で生産されている。
DICVも2009年の設立で、同国でもっとも新しいトラックメーカーだが、中大型トラック業界4位と推測される(販売台数を公表していないため正確には不明)。
12年に公開されたバーラト・ベンツ車は、その後も車型を追加していき、最新のBSⅥに適合する大型、HDT系はメルセデス・ベンツ、中型のMDT系は三菱ふそうの車両をベースにダイムラーの技術も融合したシャシー。
これらのクルマは、新興国向けに三菱ふそうブランドとしても輸出されている。