15年の積み重ねが生んだクラス8ボンネット車
ところで、日野が北米市場専用のボンネットトラックを投入したのは、20年前の2003年にさかのぼります。日野はそれまで日野レンジャーの北米仕様車を販売していましたが、よりマーケットニーズに即したトラックを現地生産してシェア拡大を図るべく、前代未聞の北米市場専用ボンネット車が開発されたのです。
日野はダカールラリーでみられるように、自身の技術で海外へ果敢にチャレンジするような気概のあるトラックメーカーですが、北米市場では、現地で定着しているコンポーネントを導入し、ユーザーに受け入れられやすいトラックづくりを優先するという、新たな考え方を採り入れました。
北米専用ボンネットトラックは、GVW14001~16000ポンド(6.3~7.2t)のクラス4車(モデル145)、GVW16001~19500ポンド(7.2~8.8t)のクラス5車(モデル165/185)、GVW19501~26000ポンド(8.8~11.7t)のクラス6車(モデル238/258/268)、クラス7車(モデル308/338/358)が設定され、小型トラックと中型トラックを展開していました。
クラス4/5の小型トラックは、2011年にキャブオーバー小型トラック「日野デュトロ」の北米仕様ワイドキャブ車へ転換して廃止されました。このクラスは、いすゞのキャブオーバー小型トラック「Nシリーズ」が大きなシェアを持っていたためです。
いっぽうクラス6/7のボンネット中型トラックは、現地架装メーカーに対する完成車用シャシー供給などにも積極的に取り組むことで、着実に北米市場に根づいていきました。その結果、日野にとってはインドネシアに次ぐ2番目の大市場へと育てあげることができたのです。
そして冒頭のとおり、クラス8のXL8が18年から新たに設定され、「600シリーズ」とも呼ばれるようになった日野ボンネットトラックは、日本メーカーで初めてクラス8への進出を果たすことになりました。
ちなみに、日野以外の非米国メーカーでクラス8ボンネット車を展開しているのは、現地トラックメーカーのM&Aで現地市場への浸透を進めてきたボルボトラックスだけです。
トラック電動化プロジェクト
そして現在、日野はクラス4からクラス8まで全クラスのトラックを電動化するプロジェクトを進めています。
その中でXL8は、トヨタの燃料電池システムを搭載する「FCトラクタ」のベース車として6×4セミトラクタ車型が起用され、2021年からカリフォルニア州において、セミトレーラを連結しての実証運行が行なわれています。
またXL7では、4×2セミトラクタと4×2配送ドライバンのBEVプロトタイプが開発されています。
筆者としては、ニコラの「One」のようなクラス8長距離FCEV大型ボンネットトラックが日野から登場したら、日本のトラックが北米大陸を横断する姿がみられるのではないかと、ひそかに夢みているところです。
【画像ギャラリー】日野が開発した北米向けボンネットトラック「XLシリーズ」の進化の歴史をチェック!!(7枚)画像ギャラリー
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