危険な運転で事故を起こした場合、自動車保険補償はどうなるのでしょうか。意図的に危ない行為をしているのだから、保険が適用できない可能性もありそうです。実態を詳しく確認していきます。
文:佐々木 亘╱写真:adobe stock╱アイキャッチ:adobe stock@ckybe
■あおり運転をする人の心理とは?
あおり運転で検挙されれば、最大で懲役3年、妨害運転により著しい交通の危険を生じさせた場合は、最大で懲役5年の刑に処せられます。
無理な追い越しや進路妨害、急ブレーキなどで他の車に危険を及ぼす運転をすることは、ドライバーとしてあり得ない行為です。
しかし、あおり運転が日夜起きているという実情もあります。
あおり運転の心理にはさまざまな要因が絡み合っています。
例えば、他のドライバーの運転に嫌悪を覚え、自身が制御できなくなるほどの、興奮状態に陥ってしまうこともあるのです。
クルマの中は気が大きくなり、攻撃的になりやすい場所でもあります。
これは誰にでも起こりうることで、誰でもあおり運転をしてしまう可能性があることを、心にとめておきましょう。
自分があおり運転の被害者や加害者にならないための対処法としては、冷静な運転態度や他者との共感を重視することが重要です。
■あおる側は補償が下りない!! 被害者が自己防衛しなければならないケースもある?
任意保険は、悪質な運転でも被害者への補償は行います。
ただし、飲酒運転や無免許運転など故意による悪質な運転での交通事故は、保険会社の免責事項に該当するため、あおり運転の加害者側になれば、自身の怪我や愛車の損傷は、補償対象外と判断されることもあるのです。
他方、加害者が任意保険に加入していないケースを見ていきましょう。
あおり運転を起因とした交通事故で、加害者から賠償を受けられない場合は、自分の任意保険で自己賠償するしかありません。
任意保険に付帯している人身障害保険は、治療費・休業損害・精神的損害・逸失利益・介護料・葬祭費等、相手からの賠償の有無にかかわらず、実際の損害額(総損害額) を補償します。
■車両損害には超法規的対応もあった! しかしあおり運転は絶対NG
相手の補償がうけられず、自己補償となった場合、車の損害には、車両保険が適用されますが、車両保険に未加入の場合は補償されません。
ただし、道義的な観点から、一部の保険会社の過去の取り扱い事例では、異例ながら車両保険未加入でも被害者救済を名目とした、例外的車両保険の適用事例も確認できました。
自分が被害者側にあり、相手が任意保険に加入していない不届き者だった場合には、自分の加入する任意保険会社へ相談してみましょう。
事情を話せば親身に相談に乗ってくれるはずです。
また、ほとんどの任意保険には弁護士費用特約が付帯していますが、これも加害者・被害者側のどちらにあるかで、利用の制限がかかってきます。
弁護士費用特約の利用条件は「被害を受けた場合」に限定されているため、被害者はもちろん利用ができますが、あおる側の加害者になった場合は、利用できません。
近年、ドライブレコーダーの普及によりあおり運転が即座にわかるようになりました。
これにより、自分が煽ったつもりはなくてもあおり運転とみなされる可能性があります。
もしもあおった側と認定されれば、自分を助けてくれる保険や補償を利用できなくなることが多くなるのです。
要らぬ疑いをかけられぬよう、ハンドルを握る際には、心の余裕を持ち、精神安定を保つことが重要になります。
道路は、他の人が数多くいる「社会」の一つです。普段の生活と同様に、相手への思いやりを忘れずに。
【画像ギャラリー】煽り運転で事故! 保険はどうなる? 法令違反だから保険金は下りないよね?(2枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方