クルマは生活するうえで欠かせないモノ。……都市部で暮らす方にはピンとこないかもしれないが、地方部では移動の手段、買い物などへ行く際、クルマはなくてはならないものという現状がある。クルマが「自分の足代わりになっている」高齢者にとっては、なおらさ。この先も運転したい……と思う方が多いだろうが、「75歳には大きな壁」があるのをご存知だろうか。
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobe Stock、AC
■65歳以上の運転免許保有率は23.5%。75歳以上になると8.1%!!
「75歳の大きな壁」。はて? なんだろう……と思うだろうが、その前にデータをご紹介したい。
運転免許保有者数は約8199万人。そのうち65歳以上の運転免許保有率は23.5%(約1927万人)。さらに75歳以上となると8.1%(約667万人)という数値になる(警察庁統計/令和4年)。
運転免許証をもっている日本人の8.1%が75歳以上の高齢ドライバーという、インパクトのある高い数値だ。
しかし、高齢者になると認知症など、クルマの運転を妨げる症状が出る人がいることも確か。認知症や体の機能の低下で、高齢ドライバーが起こす悲惨な交通事故は後を絶たない。
■高齢ドライバーが起こす悲惨な事故を防ぐための「認知機能検査」
内閣府が公表した数値だが、80歳以上の高齢ドライバーによる死亡事故件数は、平成21年には180件だったが、令和元年には224件と増加傾向にある。
さらに、令和5年の警察庁調べのデータにも驚く。
ドライバーによる年齢別死亡事故の人的要因比較。75歳以上のドライバーは操作不適が27.6%と一番多い。このうち、「ハンドル操作ミス」が14.9%ともっとも多い。次いで「ブレーキとアクセルの踏み間違い」が6.6%で、75歳未満のドライバーが0.8%ということを考えれば、この6.6%はかなり高い。
この数値からも、ブレーキとアクセルの踏み間違いなど高齢ドライバーが引き起こす悲惨な事故は、深刻な社会問題を示しているといえる。
その背景のもと、警察庁は「75歳以上の高齢ドライバー」に対して、運転免許更新時の「認知機能検査」を実施しており、2022年からその内容が変更された。
この「認知機能検査」に合格しないと運転免許が更新されないというわけだが、正直言って、検査の出題内容は高齢者にとっては難しい。
これが「75歳の大きな壁」なのである。
■このようなイラストを16枚、4分間で覚えて答えるという検査(難しい~)
「75歳の大きな壁」といえる「認知機能検査」。その出題内容。例えば、上の画像のように「動物や野菜など4枚のイラスト」を1分間で記憶する。それを合計4回、全部で16枚のイラストを合計4分間で記憶し、「その16枚のイラストには何が描かれていたかを答えなさい」という出題だ。
……意外とこれ、難しい! 61歳の筆者でも全問正解はムリっぽい(汗)。この「認知機能検査」を75歳以上の高齢者が無理なく解答するためには、日々の「脳活」がカギとなってくる。
現在、東京医科大学茨城医療センターで脳神経疾患の専門診療に携わりながら、認知症の早期発見や予防研究も行う、脳神経内科専門医・塚本 浩先生はこう語る。
「新しいことにチャレンジせず、今までと同じことばかりをしていると脳は衰えてしまいます。高齢者にとっては脳を鍛えることが重要で、そのためには適度なストレスをかけてあげることです。その意味でも、脳活は重要になります」
脳に適度なストレスを与える効果がある脳活。間違い探しやナンプレ、マッチ棒クイズ、イラスト記憶などの脳活ドリルは一般的に知られているが、塚本 浩先生も「脳活ドリルは有効な手段のひとつ」と話す。上画像で紹介したような脳活ドリル、やはり脳の活性化には有効ということだ!
コメント
コメントの使い方