■手堅いデザインゆえか、地味な存在に終わったモデル
●エルコーレ・スパーダ/日産 ミストラル
スペインの日産系工場で製造され、欧州市場をメインターゲットにしていたのが1993年にリリースされたSUVの日産 テラノII。
このテラノIIを日本向けにアレンジして、日産が輸入するかたちで1994年から販売したのだが、日本国内での車名はミストラルに変更されている。
ミストラルのデザインを担当したのがイタリアのデザインスタジオI.DE.A(イデア)のエルコーレ・スパーダだ。
スパーダは1960年代からカーデザイナーとして活躍している人物で、ミストラルは彼がI.DE.Aに所属していた時の作品。
写真を見ればわかるように、ミストラルのデザインには奇をてらったものではなく、非常に堅実にまとめられている。
実用性を重視するSUVとしてはこれで正解なのだが、日本国内での注目度はそこまで大きくなく、1998年には日本向けの生産が終了している。
有名デザイナーが関わっているのであれば、もう少し見た目にも独自性が欲しかったところか。
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●アンドレアス・ザパティナス/スバルR1、R2
2000年代初頭のスバル車に採用されていたのが「スプレッドウイング」と呼ばれる特徴的なグリルデザイン。
このデザインを考案したのがギリシャ出身のアンドレアス・ザパティナスといわれている。
フィアットやBMWでデザインを手がけたザパティナスは2002年に富士重工(現スバル)に加わり、ここでスプレッドウイングをデザインした。
最初はコンセプトカーに用いられたスプレッドウイングは、2003年発売の軽自動車・R2に採用され、続く2004年リリースのR1もスプレッドウインググリルを持っていた。
新たなスバルの顔として期待されたスプレッドウインググリルだったが、評判は芳しくなく、R1、R2ともに販売数は低調だった。
そこでR2は2005年のマイナーチェンジでスプレッドウイングではないグリルのモデルも販売されたが状況は好転せず、R1&R2は2010年に製造販売が終了した。
美醜の判断は人それぞれであり、有名デザイナーがデザインしたクルマが必ずしも成功するわけではない。
だからといって有名デザイナーの残した業績が偉大なものであるのは間違いなく、今後も語り継がれる価値はある。
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