マイルドハイブリッドはどんなメリットがあるのか?
ではマイルドハイブリッドはユーザーにとってメリットがあるか? という面を検証していきましょう。
まず、動力性能をはじめとしたドライバビリティを考えます。ストロングハイブリッド、マイルドハイブリッド、ピュアエンジンという3種のパワーユニットを備えるスイフトを例にします。
幸いなことにスイフトは同じ1.2Lエンジン使って、3種のパワーユニットを作っているので比較サンプルとしては最良と言えます。
なおスイフトはストロングハイブリッドといってもさほど大きなバッテリーを積んでいるわけではないので、重量増もわずかで室内空間への影響もラゲッジスペース容量の差程度に収まっています。
ベースとなる1.2Lエンジンは91ps/12.0kgmを発生します。エンジンだけでも軽快な走りができますが、ここにISGと言われる装置が付いたマイルドハイブリッドになるとさらに走りがよくなります。
ISGはオルタネーターをモーター&ジェネレーターとして使うような機構です。スペックは3.1ps/5.1kgmとかなり低いのですが、発進時などではアシストが効きちょっとした力強さを感じられます。
ストロングハイブリッドは13.6ps/3.1kgmのスペックを持ちます。ISGに比べると明らかにパワフルで力強い印象です。
ピュアエンジンとマイルドハイブリッドはミッションにCVTを使っています(ピュアエンジンにはMTもあり)が、ストロングハイブリッドはAGSというマニュアルミッションベースの2ペダルATを採用します。
パワーユニットの力強さはもちろんなのですが、CVTよりもダイレクトな伝達フィールがあるので力強さはより増幅しています。
JC08モード燃費を比べてみると下記のようになっています。
●各パワートレインのJC08モード燃費
■ピュアエンジン RS(CVT) 24.0km/L
■マイルドハイブリッド ハイブリッドRS(CVT) 27.4km/L
■ストロングハイブリッド ハイブリッドSL(ASG) 32.0km/L
これだけみるとストロングハイブリッドはかなりの魅力ですが、車両本体価格はストロングハイブリッドが高いという事実があります。各車の価格は下記のようになります。
●スイフトの各パワートレインの価格
■ピュアエンジン RS(CVT) 172万1500円
■マイルドハイブリッド ハイブリッドRS(CVT) 182万0500円
■ストロングハイブリッド ハイブリッドSL(ASG) 198万5500円
ピュアエンジンとストロングハイブリッドの車両本体価格の価格差は26万4000円ですが、減税額の違いなどもあるので本体価格だけでは物事はすみません。
スズキのホームページ上にある見積もりサイトで、見積もった乗り出し価格は以下のようになります。結果は2019年11月登録です。登録諸費用は概算額がプラスされています。
●2019年11月登録の場合 登録諸費用込み概算費用
■ピュアエンジン RS(CVT) 185万3365円
■マイルドハイブリッド ハイブリッドRS(CVT) 193万8365円
■ストロングハイブリッド ハイブリッドSL(ASG) 209万9665円
こうして計算してみるとピュアエンジンとストロングハイブリッドの価格差は24万6300円ですが、ピュアエンジンとマイルドハイブリッドの価格差は8万5000円でしかありません。
さて、JC08モード燃費を元に年間のガソリン代を概算してみましょう。ガソリン料金は税別で1リットル145円、年間走行距離を1カ月1000km走行するとして1万2000kmとします。
●各パワートレインの1年間のガソリン代
■ピュアエンジン RS(CVT) 7万9750円
■マイルドハイブリッド ハイブリッドRS(CVT) 6万9854円
■ストロングハイブリッド ハイブリッドSL(ASG) 5万9813円
おもしろいことにそれぞれの差はおよそ1万円となりました。ピュアエンジンに比べて8万5000円高となるマイルドハイブリッドは8年半でモトが取れます。ストロングハイブリッドの場合は12年強の月日が掛かることになります。
こうして比較するとマイルドハイブリッドならば、比較的モトが取りやすいということがわかります。
スイフトのようにハイブリッド化によって圧倒的にパワーアップができるわけではない場合、とくにマイルドハイブリッドの存在に意義があると言っていいでしょう。
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