発見されたフェラーリ創始者エンツォの元愛車、販売価格は当然高騰中

発見されたフェラーリ創始者エンツォの元愛車、販売価格は当然高騰中

 歴史的に価値のあるクルマがいずれかに埋もれており、何かのきっかけで発見されるパターンは多い。日本国内にもまだまだ信じられないお宝が埋まっている可能性もあるという。そしてアメリカでまた希少な1台が発見され、売りに出された。フェラーリの創始者エンツォの愛車である。

文:古賀貴司(自動車王国) 写真:ベストカー編集部

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■モデルとしても価値が高い330GT 2+2

美しいシルエットを持つGTモデルとして価値が高い330GT 2+2。そこにエンツォの愛車という付加価値が加わり…。そりゃ値段も上がるというもの。
美しいシルエットを持つGTモデルとして価値が高い330GT 2+2。そこにエンツォの愛車という付加価値が加わり…。そりゃ値段も上がるというもの。

 伝説のエンツォ・フェラーリが自ら愛用した究極の一台が、異例の場所で姿を現した。1962年製フェラーリ330 GT 2+2のプロトタイプが、なんとシアトルのFacebookマーケットプレイスに出品されているのだ。

 出品場所こそ意外だが、フェラーリ史に燦然と輝くこの稀代の名車に掲げられたプライスタグは…、意外ではなかった。

 250シリーズの血統を受け継ぐ330 GTは、1963年に華々しいデビューを飾った。

 そのファーストエディションとなる330アメリカは、心臓部となる大排気量エンジンとエンブレム以外は先代の遺伝子を色濃く残していたが、1964年に投入された330 GT 2+2は、4人乗りグランドツアラーという新たな領域を切り拓く革新的なモデルとして、フェラーリの新時代を告げる存在となった。

 1967年までの生産期間中に世に送り出された1099台は、いずれもフェラーリ史を彩る至宝として、現代に名を残している。

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■コンテナの中で眠っていた希少なプロトタイプ

エンジンルーム内にあるシリアルプレート。そこにはシャーシナンバー4085が刻まれている。
エンジンルーム内にあるシリアルプレート。そこにはシャーシナンバー4085が刻まれている。

 今回出品された個体は、シャーシナンバー4085。量産開始の2年前に製造された車両というだけでなく、フェラーリの創業者、エンツォ・フェラーリが社用車として通勤の足に使った、という逸話が残っている、歴史的なプロトタイプ個体なのである。

 エンツォは当時、ミニクーパーやアルファ ロメオなど、様々な車を所有していたが、この330 GTを特に気に入り、自宅と工場の往復に愛用したという。

 フェラーリの米国進出の立役者となったルイジ・キネッティの手によって、新天地アメリカへと渡ったが、その存在は長らく謎に包まれていた。

 そしてテキサス州のフェラーリ修復業者の顧客が、一台のコンテナの中からこの車を発見した。

 若いシャーシナンバーに気付いた修復業者の調査により、エンツォ・フェラーリ直々の足跡が刻まれた歴史的プロトタイプ4台のうちの1台であることが判明したという訳だ。

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■しっかりとレストアされて販売中、その価格は?

エンジンルーム、内装などを見る限りかなり綺麗にレストアされていることが分かる。
エンジンルーム、内装などを見る限りかなり綺麗にレストアされていることが分かる。

 カロッツェリア・ピニンファリーナが手掛けたエクステリアは、気品ある純白のボディカラーに身を包み、シリーズIのアイデンティティである4灯式ヘッドライトが、威厳ある表情を演出している。

 室内空間は上質な黒革が贅沢に施され、往年のグランドツアラーとしての風格を漂わせている。

 販売者によると、この稀少なプロトタイプの完全なる復活には28万5,000ドル以上が注ぎ込まれたそうだ。写真を見てみると、確かにレストア費用に納得できることだろう。

 開発段階のプロトタイプとはいえ、その心臓部には紛れもないフェラーリの魂、コロンボV12エンジンが脈打っている。

 4Lの排気量を誇るこのエンジンは、4速マニュアルトランスミッションとの理想的な組み合わせにより、その潜在能力を遺憾なく発揮する。

 正確な出力こそ明らかにされていないものの、量産型では300馬力という当時としては圧倒的なパフォーマンスを実現していた。

 当該車両、Facebookマーケットプレイスのみならず、WILD BOUT CASRS GARAGEと呼ばれるセールスマンが居ない自動車販売サイトでも販売されている。

 前者は広告目的での掲載であろう。販売価格は86万5,000ドルという、2019年の取引価格50万ドルを大きく上回る金額に設定された。もし、この金額で売れたなら5年の歳月を経て73%の投資リターンとなる。

 5年間、かつてエンツォ・フェラーリが愛用した車両でクラシックカー・ライフを満喫しながら、である。

 クラシックカーが投資対象となって久しい。言うまでもなくクラシックカーは供給量が増えることはない。その点、希少性は保たれる。

 今後もクラシックカー相場を維持・向上を図れるか否かは、クラシックカーを趣味とする層の維持/拡大にかかっている。

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