まだ射程圏内!! E34型5シリーズこそ今だよ

まだ射程圏内!! E34型5シリーズこそ今だよ

 現代車にはない魅力が詰まっているため、近年人気が高い80〜90年代のネオクラシックモデル。燃費、動力、安全と性能面では劣っていると分かっていても、欲する人は多い。1000万円を大きく超えるクラシックカーやヴィンテージカーとは違う、頑張ればまだギリギリ手に入る旧車。ここではその好例、BMWの5シリーズ(E34型)について解説してみたい。

文:古賀貴司(自動車王国) 写真:ベストカー編集部

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■見た目は地味でもBMWの技術が詰まった4ドアサルーン

1988年から1995年まで生産された3代目の5シリーズ。新車価格は当時約500万〜800円ほどで、かなりの高級車に位置づけられていた。
1988年から1995年まで生産された3代目の5シリーズ。新車価格は当時約500万〜800円ほどで、かなりの高級車に位置づけられていた。

 E34型のBMW5シリーズをめっきり見かけなくなった。冷静に考えてみれば、もはや旧々々々々型で日本デビューから36年が経過している。

 同時期のライバルであるメルセデス・ベンツ Eクラスが、2速発進でトルク重視の走りをしていた頃、気持ちよくエンジンをブンブン回せるのがこの5シリーズだった。

 ひと目で「BMW」だとわかるキドニーグリルが特徴的で、いかにも空気の流れが良さそうな丸みを帯びたデザイン。

 事実、空力特性はCd値0.30と先代モデルから0.6も改善されていた。テスト車両の総走行距離は700万kmに及び、実に120台のプロトタイプが生産され、生産前のテスト車両は500台が存在していたという。

 とにかくお金のかかった車であった、というのがBMWの当時のウリ文句。ダッシュボードは運転席からの操作がしやすいレイアウトになっており、“エルゴノミクス”(人間工学)が盛んに強調されていたことが記憶に残っている。

 また、急ブレーキをかけた際、乗っている人がシートに沈む“サブマリン現象”を防ぐ構造になっていた、というのも斬新だった。

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■シルキーシックスの直6を始め多くのエンジンをラインナップ

E34型5シリーズは他の世代、シリーズ同様エンジンラインナップは豊富。2Lの直6から4LのV8まで設定されていた。
E34型5シリーズは他の世代、シリーズ同様エンジンラインナップは豊富。2Lの直6から4LのV8まで設定されていた。

 個人的には、いわゆる前期モデルに(1988年6月~1991年8月生産)搭載されていたSOHCエンジンが好みだった。“シルキーシックス”と呼ばれた6気筒エンジンだが、今となってはそこまでスムーズな雰囲気はない。

 むしろ、シリンダーあたりの排気量が大きなことを感じさせるパワフルさを、アクセルペダルの踏み込み量に応じてダイレクトに感じることができたことが懐かしい。もっとも数値上の話というよりも感覚の話で、恐らくエグゾースト音も影響を及ぼしていたのだとは思う。

 昨今、スポーティセダンを銘打つ車は数多く存在する。E34型5シリーズのスポーティさはもはや現役ではなく、ネオ・クラシックカーの部類に入る。

 それでもホールド性に優れたシート、コックピットの雰囲気、高級ミドルクラスセダンながら今では考えられないNVH(騒音、振動、ハーシュネス)対策の低さ(!?)など、当時の5シリーズは今振り返るとユニークな存在だった。

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■現在、お宝探し状態で中古車を見つけるのは困難に…

シンプルで味のあるインテリア。思いっきり地味に見えるところもこの時代のBMWの特徴である。しかし乗ってみると実に味わい深い。
シンプルで味のあるインテリア。思いっきり地味に見えるところもこの時代のBMWの特徴である。しかし乗ってみると実に味わい深い。

 もはや中古車は見つけられたらラッキー状態で、かつての相場とはかけ離れた高値で流通する。需要と供給のバランスにおいて、後者が勝っているのでやむを得ない。そして差別化を図るにもうってつけなクルマに昇華している。

 ネオ・クラシックカーの面白いところは、各メーカーの個性が今よりも強く滲み出ていることかもしれない。NVHをさほど重視することなく、BMWが思い描いたスポーティな高級ミドルクラスセダンらしさがE34型には色濃く残っている。

 この頃までだ、ボンネットの開き方が一般的なクルマとは違う「逆アリゲーター」/「チルト式」を採用していたのは・・・。

 エンジン音や振動、ステアリングの感触など、ドライバーの感覚に訴えかける要素を大切にした当時の設計思想は、現代の視点で見ると特別な輝きを放っている。

 往年のBMWファンが、この個性的なモデルに今なお強い愛着を示すのも、そんな理由からなのだろう。

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