クルマに独特の迫力を与えるマット塗装。いよいよクラウンにも採用され、今後はクルマのカラバリとして人気が高まりそうだ。とはいえマット塗装には普通の塗装とは違う注意点もあるはず。そこでマット塗装のクルマの「気配りポイント」をまとめてみた!
文:ベストカーWeb編集部/写真:トヨタ、メルセデスベンツ、Adobestock
【画像ギャラリー】艶消し&真っ黒くろすけのクラウンクロスオーバーを見て!(6枚)画像ギャラリー■表面の凸凹で光を拡散させる!
あえて耀きを抑えることで個性を主張するマット塗装。もともとはスーパーカーやカスタムカーの専売特許だったが、近年は国産車にも採用例が現れ、トヨタのクラウンクロスオーバーには「ザ・リミテッド・マットメタル」という特別仕様車まで誕生した。
このマット塗装の原理だが、ボディの表面を目に見えないレベルであえて凸凹にすることで光を拡散させ、光を目に届きにくくすることでベタッとした質感を生み出している。
普通の塗装(グロス塗装)はむしろ逆で、色味を出す本塗装の上に「クリア」を吹き、塗装表面を平滑にしている。マット塗装はそのクリア層をあえて省略して、塗料そのものの「粒々感」を利用しているのだ。ちなみにマット塗装を最初に量産車に採用したのは、伊アルファロメオのブレラだという。
そのマット塗装だが、表面のクリア層がないということは塗膜がデリケートだということを意味する。毎日乗るとなると、グロス塗装にはない気配りが必要となるわけだ。
■マット塗装の苦労を払拭したクラウン
そもそも表面がデコボコなわけだから、水弾きが悪く、一度付いた汚れがウエスなどで拭き取りにくい。艶出しを前提としたワックスやシャンプーなども、効果が期待できないことになる。
かといって汚れを放置してしまうと大変だ。水アカや虫の死骸で塗装そのものがダメージを受けた場合に、「コンパウンドで表面を磨く」という作戦が通用しないためだ。
コンパウンドはクリア層を削って表面をツルツルにしてしまう。本来の塗装面がデコボコなマット塗装にコンパウンドをかけたら、そこだけが光ってマット感が失われてしまうのだ。
ちなみに冒頭で紹介したクラウンクロスオーバー「ザ・リミテッド・マットメタル」は、さまざまな工夫を凝らしてこうした悩みを払拭している。最表面にTMコートという特殊表面処理を行い、マットの質感は落とさずに、持久力のある防汚性や汚れ除去性を実現しているという。
このクラウンクロスオーバーのような例を除けば、マット塗装車のオーナーは日頃から汚れに気をかけ、万一の時はすみやかに処理するマメさが求められる。とはいえ近ごろはマット塗装車向きのカーケア用品も登場してきたし、いざとなればコーティングやフィルム加工で「あと塗り」することも可能なようだ。
あの独特な迫力とシブさを求める人は、めげずにトライするべし!
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