2005年8月に日本国内での開業を果たしたレクサス。開業から丸19年が経過し、レクサスは日本での20年目を走り出している。この期間、紆余曲折があり、様々な成功も失敗も経験してきたレクサスは、開業当初から追いかけ続けたドイツ御三家の背中を捉えたのだろうか。日本におけるレクサスの現在の立ち位置を確認していきたい。
文:佐々木 亘/写真:レクサス
【画像ギャラリー】最近のレクサスがカッコ良すぎ!! 大人気の現行レクサス6選(24枚)画像ギャラリー■海外では一定の成果を上げているが日本はどうか
北米からスタートしたレクサスの歴史は、既に35年間続いている。原点の北米市場はもちろん、最近ではアジアでの人気も堅調で、中国や韓国でも認知が広がり、ステータスの一つとなってきた。
レクサスブランドは、既に世界的な地位を確立している。海外におけるレクサスは非常に元気だ。
一方で日本国内では、認知度や人気が少し頭打ちになっている感がある。
BEVのRZやUX300e、コンパクトSUVで小さな高級車を演出するLBX、高級ミニバンをカタチにしたLM、そして待望の国内導入となるGXと、ラインナップがここ数年で一気に強化され、公式HPには15車種が並ぶ。魅力的な車種が増えたものの、時代の潮流からか、SUVだけが勢いよく駆けている状況だ。
フラッグシップモデルであるLSや、ES・ISといった息の長いセダンモデルの販売台数が、ここ数年伸び悩んでいる点が気がかりである。
日本では市場全体に一定の理解は得られているものの、まだまだブランドの強さは足りない。SUVブームの中でも、セダンが顕著に売れるくらいの販売力と商品力が欲しいところだ。
【画像ギャラリー】最近のレクサスがカッコ良すぎ!! 大人気の現行レクサス6選(24枚)画像ギャラリー■走りで追いつき質感では追い抜いたか?
およそ10年前、レクサスの走行性能が、BMW・メルセデスベンツ・アウディのライバルに対して勝っていたかと問われれば、当時は「NO」と答えるしかなかった。
筆者も、新型車両の商品研修会で、ジャーマンスリーのライバルモデルと新型のレクサスをいくつも乗り比べてきたが、「まぁ、ここまで来たよね(似たような雰囲気にはなってきたけど、まだドイツ御三家には足りない)」という感想で収まってしまうことが多かったように記憶している。勝負できないほどに劣ってはいないが、挙動のひとつひとつでは、ドイツ車に分があった。
ただ、こうした走りの差も、年数を重ねるごとに少しずつ小さくなっていき、LM・RX・RZ・LBXあたりは、ライバルに追いつき追い越した雰囲気も醸し出す。
また、車両内外の質感では、日本らしいキメの細やかさで、開業当初からレクサスに勝ち筋があった。現在、この点ではドイツ御三家を追い越した点も数多くある。
新型車両のいくつかは、既にライバルと同等だ。あとは残った車種をブラッシュアップするだけだが、その道は長く険しいものになる。レクサスの完全勝利は、LSが7シリーズやSクラスを超えたと、誰もが思った瞬間だ。現在は、まだその序章である。
【画像ギャラリー】最近のレクサスがカッコ良すぎ!! 大人気の現行レクサス6選(24枚)画像ギャラリー■販売店がレクサスの伝承者であれ
レクサスは十二分のおもてなしで、他社とは一線を画してきた。現場の努力と創意工夫には頭が下がる。J.Dパワーが毎年実施する顧客満足度調査では、レクサスがライバルを押さえてトップに君臨する回数が圧倒的に多い。現場のおもてなしは、顧客に十分に浸透しているようだ。
しかしドイツ御三家に対して、販売面でも足りない部分は多くある。その代表的な例が、ブランド価値の伝承だ。レクサスブランドに誇りをもち、圧倒的な熱量で顧客に対してレクサスの良さや強さを伝える勢いが、まだまだドイツ御三家の日本販売店と比べると弱く感じてしまう。
少なくとも、BMW・メルセデスベンツ・アウディの日本販売店にいるスタッフは、自分たちの属するブランドが好きで、それを商談にきた顧客に対して伝えるのが上手く、顧客はいつの間にかそのブランドのファンになる。
こうした体験を、レクサスの販売現場ですることが少ない。セールスコンサルタントやテクニカルスタッフ一人一人が、レクサスの伝承者になり、顧客をファンにさせてしまう熱量を持ってほしい。
この20年で、ベンチマークでありライバルでもあるドイツ御三家の背中は見えてきた。一部では背中を捉えたポイントもあり、追い越すにはあと一歩といったところ。改善点を1年ずつ洗い出し、実践していけば、開業から四半世紀を迎えるころ、ライバルがレクサスの背中を追いかけるようになるはずだ。
日本の高級ブランドのレクサスには、この先もカテゴリーを牽引する存在であってほしい。
【画像ギャラリー】最近のレクサスがカッコ良すぎ!! 大人気の現行レクサス6選(24枚)画像ギャラリー
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