どのくらい暗くなるとライトが点灯?
さて、オートライト点灯義務化の中身だが、どれくらい暗くなるとライトが点灯するようになっているのか?
ヘッドライトのロービームが、以下の周囲の明るさに応じて自動的に点灯および消灯するとある。
・周囲の照度が1000ルクス未満になるとロービームが2秒以内に点灯する
・周囲の照度が7000ルクスを超えるとロービームが5秒から300秒以内で消灯する
(※周囲の照度が1000ルクス以上7000ルクス以下での点灯や、点灯と消灯までの応答時間は自動車メーカーに委ねられる)
なお1000ルクスを下回る時間帯は、屋外では日没も重なり、周囲が暗くなってくるタイミングで、無灯火の車両がブレーキを踏むとブレーキランプが目立って見え始める明るさだ。
オートライト義務化以降に生産されるモデルは、ロービームを自動点灯とするとともに、走行用前照灯(ハイビーム)や前部霧灯(フロントフォグランプ)点灯時、または駐停車時以外では、手動による自動点灯の解除ができないことが肝心な点だ。
すなわち、ドライバーは常にライトオンで走行しつつ、点灯条件として設定されている周囲の明るさが1000ルクス未満になると自動で点灯し、ハイ/ロー・ビームを任意で切り替えることになる。
なお、今回のタイミングでのオートライト義務化は、軽トラックやハイエースバンといった小型商用車は対象外。
11人乗り以上で2ナンバーが付くバス(14人乗りのハイエースコミューターやキャラバンマイクロバスも含む)、総重量3.5トンを超える商用車は、新型車が2021年4月、継続生産車の場合2023年10月からオートライトが義務化される。
思いやり消灯は違反になるのか?
では、信号待ちでの前のクルマや対向車線のクルマが眩しい時に、ライトを消灯する、いわゆる“思いやり消灯”は違反になるのか?
最近ではLEDランプの普及とともに昼間でも状況によっては、対向車のヘッドランプ(やデイライト)が眩しく感じられる場合もあるから、停車時にオートライト機能をオフにする行為もマナーとしては間違ってはいないと思われるのだが……。
まず、道路交通法の第52条第2項「灯火の制限」には、「車両等は、夜間、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない」と記載されている。
さらに「自動車等は、夜間、他の車両等と行き違う、または他の車両等の直後を進行、他の車両等の交通を妨げるおそれのあるときは、前照灯の光度を減じ、または照射方向を下向きにするなどの操作をしなければならない」と定められている。
つまり、ハイビームが原則であって、対向車や先行車がいない状況では、より遠くを照らすことのできるハイビームを活用して、自転車や歩行者、道路上の障がい物等を早めに確認することを警察は推奨している。
そのうえで、街灯の多く設置された市街地や、交通量の多い道路等、他の車両等の交通を妨げるおそれがある場合には、ロービームに切り替えるように求められる。
しかし、現実的には市街地では常時ハイビームではロービームへの切り替えを頻繁に行わねばならず、警察による取り締まりも夜間の山間部など見通しの悪い道路状況を除いて実施されてはいない。このように灯火の使用に関しては、どうしてもグレーゾーンが存在するのだ。
今回の道交法の改正によって、ロービームは「手動による解除ができない」すなわち「常時点灯」が必要とされ、ロービームが対向車などに対して眩しくても、消灯してはいけないことになった。
それでも、旧式(になってしまう)のオートライトの解除が可能な場合や、発進時の自動復帰の機能が備わっていれば、車両がドライバーの意志により停止時に消灯した場合には、違法となる可能性はあっても、取締りの対象とはなりえないはずだ。
従来の手動による操作で同様の作業を行っても、路上で車種・年式で判断することは現実的ではないだろうから、当然の話ではある。
ちなみにヘッドライトの無灯火による違反点数は1点、反則金は大型7000円、普通及び2輪車で6000円、小型特殊、原付で5000円。
各ヘッドライトの寿命だが、ハロゲンバルブは約1000時間(約3年)、HIDは約2000時間(約5年)。
これに対してLEDライトは、約10000時間(15年)という長寿命。ただし、これは適切な放熱が行われるという条件下でのもの。
ちなみにLEDでもHIDでも新品時に比べて光量が70%に落ちた時点が「寿命」とされている。おそらく、オートライトが義務化になると点灯時間が長くなるためライトの寿命は短くなるだろう。
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