ベストカー本誌の過去記事から名企画・歴史的記事をご紹介する「ベストカーアーカイブ」。今回は彼らナシに現代のクルマは語れない!? 偉大な功績を残した絶版車たち、消え去った栄光のクルマたちを振り返る!(本稿は「ベストカー」2014年3月26日号に掲載した記事の再録版となります)
文:斎藤 聡、片岡英明
■フェラーリを本気にさせたスーパースポーツ ホンダ NSX(1990~2005年)
NSXは、ホンダばかりでなく日本の自動車産業の金字塔といって過言ではない。オールアルミボディを持った量産ミドシップスポーツカーであり、そのパフォーマンスは世界トップレベルにあった。
特に操縦性に関しては、シビアなのが当たり前だったミドシップカーの常識を打ち壊し、ストリートユースが充分可能な扱いやすさ、取り回しのよさを備えていた。世界のミドシップスーパースポーツカーと比べてサスペンションストロークがたっぷりあることが、ミドシップスポーツカーのなかで飛び抜けて操縦性がよく、コントロール性に優れていた理由のひとつ。
エンジンも、3LのV6横置きミドシップで、パワーも280psに過ぎなかったが、軽量なボディには充分にパワフル。バランスのよさと操縦性のよさが速さにつながっていることがよくわかるクルマだった。
ちなみに、当時ESP電子制御デバイスを装備したスーパーカーはなく、結局コントロール可能なパワーはミドシップカーでも350ps内外だった。これもNSXが世界的に高性能モデルと肩を並べることができた理由といえるだろう。
いずれにしてもNSXはホンダのスポーツマインドを形にしたスーパースポーツカーであった。そしてその存在が新しいNSXを生み出す原動力になっていることは間違いない。(TEXT/斎藤 聡)
●NSXの功績……世界トップクラスのスーパースポーツで、国産車の金字塔!
■手軽なライトウェイトミドシップ トヨタ MR-S(1999~2007年)
MR2が採用したミドシップレイアウトを継承し、しかもフルオープンで登場した。ボディ各部を補強しながら1tを切る軽量ボディを実現しているが、この軽量化技術は今のクルマ造りにも生かされている。
また、時代に先駆けて電子制御シーケンシャル5速MTを設定したことも特筆できる。レスポンスが鋭く、キレのいい変速を行うデュアルクラッチの2ペダルMTの魅力を今では多くの人が知っている。トヨタは、これと同じことを10年以上前にAWDで実現しているのだ。しかも後期型は6速に進化。
1.8Lの直列4気筒エンジンには可変バルブタイミング機構を盛り込み、実用域のトルクを太らせている。スポーツカーのエンジンだが、フレキシブルで扱いやすい。
さらにパワーステアリングは、軽量コンパクト設計で操舵フィールも滑らかな電動油圧アシストのEHPSを採用している。これも今につながる技術だった。(TEXT/片岡英明)
●MR-Sの功績……今に生きる軽量化技術と2ペダルMTの採用
■FF車のハンドリング革命児 日産 プリメーラ(1990~2008年)
1990年に「快適性と走行性能を高次元で両立させたコンフォート・パッケージングセダン」をテーマに登場したP10プリメーラは、FFファミリーカーの歴史を変えたエポックメイキングなクルマである。
ボディサイズはそれほど大きくない。だが、キャビンは見た目以上に広く、快適だ。前後のウィンドウを寝かせて空力性能を向上させ、静粛性や燃費性能も引き上げた。今につながる優れたパッケージングと1990年代のプロポーションを先取りしたのが初代プリメーラだ。
また、サスペンションも進歩的で、今の時代にも通用する。この時代、FF車はストラット式サスペンションが一般的だった。が、フロントに革新的なマルチリンク、リアにパラレルリンク式ストラットの4輪独立懸架を採用し、ファミリーカーの域を超えた異次元のコーナリングを見せている。FRのスポーツモデルより痛快で、懐の深いコーナリングとリニアなハンドリングが自慢だ。
この大胆な試みはライバルメーカーのエンジニアを驚かせ、マルチリンクの可能性を大きく広げた。後期型では操縦安定性を向上させるため、フルフレックス・ショックアブソーバーも採用している。
ヨーロッパ車以上にヨーロッパ車っぽい感覚の上質なファミリーカーだった。フルタイム4WDのメカニズムも今のクルマと変わらない。(TEXT/片岡英明)
●プリメーラの功績……FFファミリーカーの歴史を変えた欧州車並みの走り















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