■スバル初の水平対向6発の咆吼 スバル アルシオーネ(1985~1996年)
スバルがAWDスペシャリティカーのアルシオーネを発表したのは1985年だ。
今から30年も前にアルシオーネは、空気抵抗係数がコンマ30を切る、Cd値0.29の優秀なエアロダイナミクスを達成している。セルシオやオペルのカリブラより4年も早く、量産車として世界最高レベルの空力性能を実現したのは驚くべきことだ。
駆動方式はパートタイム4WDを主役に据えているが、オート4WDボタンもある。そして後期モデルではフルタイム4WDへと進化させた。トランスミッションも4WDトランスファーMP-Tと、最先端を行く。
また、世界でも珍しい水平対向6気筒エンジンを追加設定したが、これに搭載したAWDシステムが凄い。量産車としては世界で初めて電子制御アクティブトルクスプリット4WDのACT-4を採用している。これは今でも通用する技術だ。
4気筒のVRターボは、優れたハンドリングと上質な乗り心地を両立させるため、ハイトコントロール付き電子制御ニューマチックエアサスペンションのEP-Sを採用。これも時代を先取りしたメカで、多くのクルマに影響を与えている。(TEXT/片岡英明)
●アルシオーネの功績……当時最高レベルの空力性能と4WD技術
■29年振りに蘇ったSの系譜 ホンダ S2000(1999~2009年)
ホンダのFRのスタディモデルだったと個人的には思っている。所詮乗用車と高をくくっていたかどうかはわからないが、デビュー当初のS2000はとてもナーバスな操縦性を持ったクルマだった。
2シーターオープンFRスポーツ。エンジンは2Lで250psを発揮するVTECエンジンを搭載。ボディ剛性も当時のオープンボディとしては飛び抜けてよかった。
ほぼ完ぺきなパッケージングを持っていたが、唯一サスペンションセッティングとジオメトリーがでたらめだった。ロールからの戻りのスピードが速く、そのまま向こう側へ滑って行ってしまうような抑えの効かない足回りだった。
2003年に行なわれた2度目のマイナーチェンジでリアサスのピポット位置を変更、ダンパーセッティング等が改良され、ようやく楽しめるFRスポーツになった。
その後2.2Lに排気量アップするとともにファイナルギヤが変更されローギヤ化。典型的な高回転高出力型エンジンにギヤ比のクロスしたマニュアルミッションが組み合わされ、いつしかホンダを代表するスポーツカーの一台として成長した。(TEXT/斎藤 聡)
●S2000の功績……ホンダFR技術の研究、発展に貢献した
■FRにも負けない小型FFスポーツ ホンダ CR-X(1983~1997年)
1983年の初夏にFFのライトウェイトスポーツが鮮烈なデビューを飾った。ホンダが放ったバラードスポーツCR-Xである。ベルノ店の戦略モデルで、キャッチフレーズは「デュエットクルーザー」だ。デビューした時は1.3Lと1.5Lの4気筒SOHC3バルブCVCCエンジンを積んでいた。クラス最強スペックを誇る「Si」が仲間に加わるのは1984年秋だ。
初代CR-Xは、軽量コンパクトなクーペボディを採用し、気持ちいい走りを手に入れた。車重は800kg台と軽い。これは樹脂を中心とした複合材を使ったからで、30年も前に新素材に注目して軽量化に励んだ。
また、サスペンションも凝ったレイアウトだった。フロントはストラット/トーションバー、リアはトレーリングリンク・ビーム/コイルのサスペンションで、スポルテックの名をつけている。気持ちいいハンドリングと卓越したフットワークが自慢だ。CR-Xデルソルでは時代の先を行く電動オープントップを採用し、注目された。(TEXT/片岡英明)
●CR-Xの功績……時代の先をいく軽量化技術は特筆すべきポイント。



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