クラウンパトカーに新モデルが登場した。現行型のクラウンスポーツをベースとしたSUVモデルで、全国にたった1台だけという希少パトカーだ。
クラウンパトカーといえば、日本の警察を代表するパトカーで、その多くが国の予算で導入されている。しかし、今回導入されたのは、トヨタ自動車からの寄贈! 結果、全国でもここでしか見られないクラウンパトカーとなった。こうしたレアなパトカーの多くは寄贈という形で誕生することが多い。クラウンスポーツパトカーのほか、過去の寄贈パトカーもご紹介しよう。
文/写真:有村拓真
■GTOパトカーの対抗馬。“新”広報パトカーの誕生
日本でもたった1台しかない、クラウンスポーツのパトカーは、実はトヨタ自動車からの寄贈車だった。きっかけの1つとなったのが、三菱のGTOパトカーである。
愛知県警察本部にて行われた寄贈式典で、トヨタ自動車の河合満エグゼクティブフェローは、今回のプロジェクトを振り返り、こう語っている。
「打ち合わせで県警本部を訪れたが、交通事故発生件数の看板を毎週のように見るたびに、この数字を少しでも減らせられる貢献をしたいと感じた。三菱GTOのパトカーがあるのを見つけ、この愛知という土地でトヨタとしても何とか珍しいクルマを提供できないかと検討し、今回につなげることができた。イベント等でお子さんなど皆さんの目に触れる機会が生まれ、警察官になりたいという方へのきっかけにもなれば」と。
また同席したトヨタ自動車の清水チーフエンジニアは「新しい広報車として、広報課の皆様から様々なご相談を受け、カーボンニュートラルの観点から、クラウンスポーツPHEVをご提案させていただいた。大変大胆なデザインで、老若男女幅広くカッコいいと言っていただけるパトカーになったと感じている」と語っている。
出発式では、広報車である三菱GTOのほかに、150系クラウンパトカーも参加した。同車は愛知県警唯一の生き残りの150系。愛知県警最古のクラウンパトカーと最新のクラウンパトカーとの夢の共演が実現したのである。
■災害時の活躍も期待されるPHEVパトカー
今回のクラウンスポーツパトカーはPHEVということで、大規模災害発生時等の電源車としても機能を果たすことができる。停電により使用できなくなった信号機や警察施設への電源供給等、様々な用途で活躍することが期待される。
広報車という名目で納入されているため、基本的に取り締まり活動等に従事することはないが、車内にはサイレンアンプやマイク、そして速度計測を行うストップメーターが備わっており、交通取り締まり用のパトカーと同仕様をトヨタにお願いしたということだ。
3月9日に開催された名古屋ウィメンズマラソンで正式デビューを果たし、4月以降は愛知県内の各警察署に貸し出されて広報任務等に従事することになるという。春の交通安全運動が始まる時期でもあるため、県内のあちこちで勇姿を見ることができそうだ。
ちなみに導入価格はトヨタ側の意向により非公表となった。グレードはSPORT RSなので、車体価格の765万円に警察装備品などの架装費用を合わせると1000万円程度になると予想される。
コメント
コメントの使い方LC500とGTRを換装までして個人で寄贈とは・・・すばらしすぎる。十分な財力を得たなら、こういう人物であってほしい。