現在、先進的なクルマと言ったら、自動ブレーキ機能や同一車線内でハンズフリー走行ができるクルマなどを思い浮かべるが、約35年前はどうだっただろう。今とは違い、当時はデザインが先進性のアイコンだったりする。丸くて低くて他のクルマに全く似ていないというのが、未来のクルマであった。発売当時「タイムマシンかもしれない」と言われた、日産・NXクーペを紹介していく。
文:佐々木 亘/日産・ロールスロイス
【画像ギャラリー】ロールスロイスは日産のマネだった!? ドアに傘が収納可能な「NXクーペ」をギャラリーでチェック(24枚)画像ギャラリーほぼ曲面で作られたクルマ
一昔前のクルマと言えば、四角くて「箱」という言葉がよく似合うものが多かった。エッジの立ったデザインがカッコいいもので、カクカクしたクルマが大勢を占めていたのだ。
そんな中1990年に登場したNXクーペは、ボディ全体のどこを見ても曲面や曲線で造形されている。流線形という表現も違うなと思わせるくらいに、ツルっとヌメっとしているのがNXクーペだ。
フロントマスクは楕円のヘッドランプが印象的。ボディサイドは伸びやかでCピラーからテールに向かってはなだらかに下りていくデザインだ。現在で言うとプリウスなんかに近しいデザインで、シルエットだけみたら35年も前のクルマとは思えないだろう。
NXクーペに言わせれば、ファンションも性能の一つである。空力を重視しながらもカッコよく仕上がったクーペスタイルは、高性能の証だ。
2ドアクーペでありながら大きなラゲッジスペースがあるのもNXクーペの特徴であろう。ハッチはガラス面が上部に開く構造になっていて、テールランプまで一緒に持ち上がらないのが特徴的。開口部が広く奥行きもあるためスキー用品なども容易に積めるのだ。
見ただけで面白そうなクルマとわかるのが、まさに未来のクルマ。NXクーペは見て乗って楽しめる、ハッピーなクルマである。
【画像ギャラリー】ロールスロイスは日産のマネだった!? ドアに傘が収納可能な「NXクーペ」をギャラリーでチェック(24枚)画像ギャラリー多機能ドアが凄すぎる
インテリアに目を向けると、モケットタイプのスポーツシートにハイテク感覚のデジタルメーターがお出迎え。ステアリングとシフトノブには本革を使い、このあたりはスポーティカーとして抜かりはない。
ドアは重厚感たっぷりで、クロス貼りの一体成型だ。握る・腕をのせる・リラックスするといった様々なポーズをよく考えたデザインになっており、クーペながら収納を考えたドアポケットが付いているのも嬉しい。
ドアハンドルのすぐ奥にはワンタッチパワーウィンドウスイッチと車速検知式オート集中ドアロックのスイッチが備わり、絶妙な配置で操作性が高かった。
また、運転席側のドアストライカー上部には雨傘の収納スペースがあるのにも驚かされる。もちろんオリジナルアンブレラも標準装備という凝りようだ。3代目パルサーにも同じ装備があったから、当時の日産の開発担当はコレが好きだったのだろうか。
傘収納と言えば、ロールスロイスだが、もしかするとNXクーペやパルサーの真似をしたのかも。
ラゲッジに傘を置くと一気に生活感が出てしまうが、ドアに閉まってあればそれも防げる。傘収納も含めて、NXクーペは未来をデザインしてあったのだろう。
【画像ギャラリー】ロールスロイスは日産のマネだった!? ドアに傘が収納可能な「NXクーペ」をギャラリーでチェック(24枚)画像ギャラリー心臓部も足もセンスの塊
エンジンには1.8Lツインカムエンジンを搭載。他に1.6Lツインカム・1.5Lツインカムも用意する。足回りには、前輪にストラット式、後輪にはパラレルリンクのストラット式を採用。パラレルリンクは2本の平行したリンクが常に平行四辺形を形づくってタイヤの前後の振れを少なくし、高い走行安定性を確保するものだった。
またタイプSグレードにメーカーオプション装着されていたのがスポーツオートサスだ。走りに応じて自動的にショックアブソーバーの減衰力が切り替わる電子制御サスペンション。コンフォートでは自動切換えになり、スポーツへスイッチを入れると硬めに固定される仕様だ。
NXクーペが誕生したときから見て35年後の未来の今、細かなデザインはともかくボディラインと多様な装備は、現在のクルマにも見劣りしない。未来から来たタイムマシンと言われても良い先進性が、NXクーペにはあった。
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