現行型はコンパクトハッチバックのミラージュだが、初代から5代目まではハッチバックとセダンが併売されていたのをご存じだろうか。3ドアハッチのイメージが強烈にあるミラージュではあるのだが、セダンも結構良いクルマだったんです。今回は、日本にエリマキトカゲを認知させた、個性あふれるCMでお馴染みの、2代目ミラージュセダンを紹介していこう。
文:佐々木 亘/画像:三菱自動車
【画像ギャラリー】ミラージュと三菱の後継セダンたちを振り返る(18枚)画像ギャラリーハイパフォーマンスセダン・ミラージュ
四角いヘッドライトと全体に角張ったフォルムをしているエクステリアだが、随所に曲面を使い、サイズ感の割にふくよかな印象を受けるミラージュセダン。特にこの時代の三菱の特徴でもある、リアタイヤの上部を少し隠した台形のリアフェンダーは、ギャランΣやトレディアなどと共通している。
上級グレードの1500CG-7には、フルホイールカバーや高級なダブルラッセルシート生地、運転席ハイトアジャスタなどの装備を積み込み、サイズよりも豪華な仕様となっていた。本物志向のセダンとして、ちょっと洒落た存在だったのである。
先進的なデザインのインテリア
インパネはシンプルな作り込みながらも、配置や色使いなどを工夫した結果、時代を一歩先取りするような先進性を持つものになった。
ステアリングは2本スポークの特徴的なデザインになっており、ライトスイッチやワイパースイッチがステアリングコラムの土台側に固定され、その操作スイッチは太くて短い。特にライトスイッチがウィンカーレバーに一体のものではなく、別体になったことで、インパネ周りのシンメトリー感が強まった。
また、液晶式電子メーターが、エレクトロニクスの光で、的確な走行情報をドライバーに伝えてくれる。スピードメーターは液晶文字が大きく視認性が高いし、タコメータは速度計の下にバータイプのものが用意され、左から右に液晶表示が増えていくことで、エンジン回転数をドライバーに伝えるのだ。
窓が大きく明るい車内は、セダン特有の閉塞感も少なく、非常に明るい。室内長は1850mmあり、幅は1365mm、高さ1135mmとセダンにしては広々としている。また、エンジン回転数に応じて、ステアリングの重さや操作性が変わるエンジン回転数感応型パワーステアリングは、街中ではきびきびと、高速道路ではどっしりと走れる絶妙なチューニングであった。
エンジンラインナップも豊富で本気のセダンを作っていた三菱
2代目ミラージュセダンのグレードラインナップは13タイプもある。搭載されているエンジンだけで、1500㏄と1300㏄のガソリンと1800㏄のディーゼルだ。
時代背景的に、セダンが売れていた時でもあるが、それ以上に三菱のセダンづくりは実直で三菱の色が濃く出たものでもあった。ミラージュのみならず、ランサー・ギャランなど、各サイズに真面目なセダンが並んでおり、そのどれもがハイメカで大人のドライブを楽しめる実力を持っている。
三菱製造の最後のセダンがギャランフォルティスだったが、こちらは2015年に販売を終えた。三菱らしいセダンが姿を消して、早10年となる。
コンパクトカー需要が再び高まる中で、三菱がコンパクトセダンを作り出し、かつての勢いを取り戻してほしいものだ。ミラージュセダンはその第一歩になるだろう。統合・協業の話も持ち上がっているのだが、三菱には三菱らしさを失わずに、クルマづくりを続けてもらいたい。
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