都市型SUV・アーバンスタイルSUVといった言葉が当たり前に使われるようになった昨今。かつては悪路を走るための道具として使われてきた、タイヤが大きく背が高い、2BOXの車体を載せたクルマは、四駆・クロカンからSUVへと名前を変えて、今や人気の車種となっている。そんなオンロード走行も意識したSUVなのに、本格的な4WD性能を誇り、パリダカに出ちゃうくらいのクルマが、かつてあった。オールラウンドスポーティRVの三菱 チャレンジャーを振り返っていきたい。
文:佐々木 亘/画像:三菱自動車、トヨタ
【画像ギャラリー】パリダカ出場は伊達じゃない!! 対ランクル最右翼はやっぱり三菱だァッ!(15枚)画像ギャラリーライバルはハイラックスサーフ
1996年に登場したチャレンジャーは、本格的な4WDのメカニズムとスマートな使い勝手、そして快適さを高い次元で融合した新しいパッケージングのクルマだった。パジェロよりも手軽で日常に近く、でもいざという時には、パジェロと同等の頼りになる走行性能を持ったクルマが、チャレンジャーなのである。
当時人気だったのが、日産 テラノやトヨタ ハイラックスサーフのような、オンロードメインの四駆たち。いわゆる四駆(クロカン)の風体をしていて、それなりに非舗装路も走れるが、基本は舗装路を走るだけなので、乗り心地や豪華さ、クルマのカッコよさを重視するというユーザーニーズに応えたクルマだ。
ここへチャレンジャーは、ライバルが持っていない本格4WD性能を持ってきた。
2代目パジェロから流用されたラダーフレーム構造のシャシーをベースにして、2WDと4WDの切り替えを可能とし、必要に応じてセンターデフをロックさせて直結四駆と同等の走破性が得られるスーパーセレクト4WDを搭載する。
十分な戦闘力を持ったチャレンジャーは、当時隆盛を誇っていたハイラックスサーフの牙城を切り崩す役割を与えられ、大いに健闘した。まさに新しいカテゴリーを作り出した、挑戦者なのである。
スペアタイヤを背負わない都会派スタイルがカッコいい
ボディサイズは、5ナンバーサイズの標準ボディ(全幅1695mm)と、3ナンバーサイズのワイドボディ(全幅1775mm)が設定され、乗用車であることを強く意識させる。全長は4530mmと長く、ワイド&ロングのボディサイズを生かした室内空間の作り方が、チャレンジャーの魅力の一つだ。
最大2820mmの超長尺物も運べるロングフラットモードを世界初搭載し、多彩なシートアレンジを可能としている。また、乗車定員を5名とすることで、ラゲッジスペースには大きなゆとりが生まれ、デュアルカーゴフロアボックスの採用などで積載能力はピカイチだ。
また、8ナンバー登録が可能な簡易キャンピングカーのネストも用意され、当時の若者やファミリーユーザーのココロをしっかりと掴んでいた。
エクステリアのリアビューには、当時のSUVにありがちな背負いのタイヤが無く、それだけで洗練されたアーバンテイストを感じられたものだ。パジェロに近しい実力を持っていながら、その力は外見からは想像できない。チャレンジャーは、SUV界の羊の皮を被った狼だったのである。
三菱版ランクル250になれる
チャレンジャー自体は、時代がミニバンへと移行していたこともあり2001年に国内販売は終了する。販売面では大きなインパクトを残すことはできなかったが、それでも約5年間で総生産台数61万台超は立派な数字だ。
洗練された見た目と本格四駆の性能は、現代で言うところのランドクルーザー250にどことなく似ているような気がする。トライトンも復活したことだし、大人気のランクル勢にチャレンジャー復活で攻勢を仕掛けるのも面白そう。
三菱には本当に面白いSUVが多かった。SUVが選ばれている今だからこそ、色々な車種を復活させて、三菱のSUVに懸ける思いを伝えてほしい。
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