今回用意したクルマは2023年11月に二度目の再販を開始したトヨタ ランドクルーザー70。試乗したテリーさんは、古くても使いやすい部分は残し、新旧を融合させたランクル70を大絶賛!! 新旧まとめて取り込み、上品にまとめた名作だ!!
※本稿は2025年3月のものです
文:テリー伊藤/写真:中里慎一郎、トヨタ、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2025年4月26日号
古いクルマのテイストを色濃く残した新車
のっけから結論を出すが、ランクル70は最高のクルマだった!
本気で欲しくなり、この取材後すぐに販売店に連絡したら、「受注停止中」と言われてしまった。いつまでこの状況が続くのか知らないが、目の前にご馳走があるのに「食うな」と言われているのだ。猛犬はもちろん、チワワでも噛みついてきそうな理不尽な状況である。
900万円くらいで中古車が出ているのを確認しているが、さすがに2倍近くの金額など出すわけがない。いずれ受注が再開するのを待つか、諦めるかしかないのだろうか。私も噛みつきたい気分だが、誰に噛みついていいのかわからない。
ランクル70のどこがそんなに気に入ったのか。新車なのに古いクルマに乗っている気持ちになれるのがいいのだ。
先日、京都に行って町屋をリノベーションしたレストランを訪れた。見た目は昔ながらの町屋だが内装をモダンに改装し、設備は最新のものを使っている。この古さと新しさの融合が素晴らしかったのだが、クルマで言えばランクル70そのものではないか。
クルマに限らず「新しい技術が投入された古いもの」は多くの人が好む。しかし、古いクルマを蘇らせるといっても、安全性や法規の問題などハードルは高く、なかなかできることではない。現実的にはデザインを昔のクルマに似せて「復活」と謳うくらいだろう。
ところがランクル70は正真正銘、古いクルマが蘇っているのだ。なぜか。中東やオーストラリアなどの海外ではまだ現役で売られているからである。特にオーストラリアでは、その走破性の高さで「神」と言われていると聞く。
日本では2004年に販売を終了し、2014年に一度目の再販を行っている。その時はバンとピックアップ、MTのみというマニアックな組み合わせだった。
今回の二度目の再販はワゴンでATという一般的な仕様になったが、一方で全幅1870mmという古いクルマらしからぬ幅広さ。その車幅に二の足を踏んでいたのだが、乗ってみて驚いた。四角いボディの見切りが素晴らしく、これなら初心者でもラクに運転できるのではないかと思えるほどだったのだ。
苦労しないで旧車を満喫できる
私は古いクルマが大好きで、今も数台持っているのだが、当たり前のことながら古いクルマは本当に壊れやすい。ドライブに出かけ「今日もちゃんと帰宅できた」と胸を撫で下ろす日々が続いているのだ。
それは古いクルマの醍醐味でありながら、「しなくてもいい苦労」でもある。ランクル70はそんな苦労をしないで古いクルマの楽しさを満喫できるのだから最高すぎる!
とにかく視界が圧倒的にいい。着座位置が高いうえに、繰り返すが本当にボディの見切りがいいのだ。こんな景色は今のクルマでは絶対にない。
走りだって気持ちいい。直4、2.8Lディーゼルターボは最新のランクル250にも積まれているエンジンだし、想像するよりずっと乗り心地もいい。1984年の初登場から40年以上経っているが、改良やマイナーチェンジを繰り返して進化しているのだ。
だから、内装も基本デザインは継承しながら、液晶パネルなどを配置して古さと新しさを見事に融合している。なんとタイプCのUSBポートもあるのだから凄い。
つくづく思ったのは「なんと上品なクルマか」ということだ。特にオラオラ系が多いSUVのなかでは世界一上品だと断言しよう。これが新車で登場するなんて奇跡である。なんとか買えるようにしてほしい!
●トヨタ ランドクルーザー70 AX 480万円(6AT)
2014年の再販を経て、2023年11月に二度目の再販となったランクル70。204ps/51.0kgmの直4、2.8Lディーゼルターボと6速ATの組み合わせで、パートタイム式4WDを採用している。
ボディサイズは全長4890×全幅1870×全高1920mm、ホイールベース2730mm、車重2300kg。緊急自動ブレーキ、クルーズコントロールなどの最新装備も付く。



























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