冬のLEDヘッドライト問題、ご存じだろうか。南の地方では体感することが少ないかもしれないが、2025年3月の積雪で体感した人も多いはず。夜×雪のドライブが超危険になるこの問題。早期に解決策を出さないと、冬にクルマを使えなくなってしまうかも。
文:佐々木 亘/画像:トヨタ
【画像ギャラリー】はやくも来年の冬に向けて考える必要がでてきたか……? LEDは素晴らしいんだけどどうにかしたい!!(12枚)画像ギャラリーLED普及しすぎで降雪に激弱なクルマが増えた
クルマの電動化が進み、ヘッドライトユニットもドンドン薄型かつ軽量化されている。デザイン性の高さと空気抵抗を抑えるために、昨今のクルマではLEDヘッドライトユニットが欠かせなくなったのだ。
かつては高級車や上級グレードのみの装備だったが、最近ではベースグレードからヘッドライトはLEDというクルマが増え、軽自動車でもコンパクトカーでもLEDを使うようになっている。
ハロゲン・HIDに比べると、LEDは圧倒的に効率がいい。ただ、効率が良いということは熱として捨てるエネルギーが無いことを意味するのだ。これまで、ハロゲンやHIDヘッドライトが無駄な熱で解かしてきた雪が、LEDヘッドライトでは解けなくなっているのである。
降雪時にヘッドライトユニットが雪で覆われるクルマを見ることは珍しくなくなった。特に、フロントグリルからヘッドライトまでが、地面と垂直に配置されるランクル70・ハイエース・ノアでは、ヘッドライトへの着雪がより顕著だ。
さらに問題は夜間。特に高速道路などを走っていると、瞬く間にライトユニットが雪で覆われる。光源を覆われたクルマで真っ暗な中を走行するのは、超危険なドライブなのだ。
どこまでも安全に行って帰ってくるという使命を負うランクル70でも、雪の中ではお手上げなのか。今後、トラックなどにもLEDヘッドライトが普及してくると、雪で日本の物流が止まることにもなりかねない。
最低限ヘッドライトウォッシャーは欲しいのよ
LEDヘッドライトが高級品で、一部グレードやオプションでの装着に限られていた時代は、「LEDヘッドライト×寒冷地仕様」にすると、ヘッドライトウォッシャー(ヘッドライトクリーナー)ノズルが付属してきたのだが、最近はそれも無くなった。ただ、ランクル300やランクル250には付いていることを考えると、消えた理由にはコスト的な側面も感じてしまう。
確かに超厳寒地では、ヘッドライトウォッシャーがあってもヘッドライトユニットへの着雪は防ぎようが無いが、少々の雪であれば、結構効果があるモノなのだ。あるとないとでは雲泥の差だし、すぐにクルマを停めて雪を掃けない状況では、ヘッドライトウォッシャーで雪を解かすほかない。
ウォッシャーノズル分の空間や、フロントバンパーの穴あけ加工など、手間は必要になるが、安全なドライブを考えると、ウォッシャーノズルの有り無しをユーザーが選択できるようにはしてもらいたいものだ。最低限、寒冷地仕様を選んだらヘッドライトウォッシャーが付属してくるような、オプション体系であって欲しい。
雪を解かすなら、ヘッドライト融雪ヒーターなるものを付けるのも一つの手なのだが、電熱線をシールで貼り付けるのはデザイン的にもどうかと思うし、1年に1回の交換が必要となるとコスパも悪い。また、ミラーやガラス用の水滴が付かないコート剤をヘッドライトに塗布してクルマを使う雪国の知恵もあるが、これも施工の手間やコストがかかりすぎる。
日本が降雪地域では無いというなら、LEDヘッドライトに大賛成だ。しかし、これまで雪の降らないような場所でも、大雪になる機会は昨今増えてきたように感じる。
クルマが売れるのが海外だから、日本の降雪に対する需要はどうでもいいのか。国内メーカーには、もう一度、日本の方を向いたクルマづくりをお願いしたいところだ。















コメント
コメントの使い方新潟ですが、水分の多い雪はLEDヘッドライトに雪が付着します。夜間の走行ではドンドン視界が悪くなります。2月上旬の大雪の際は信号待ちの度に降りてLEDヘッドライトに付着した雪を払っていました。寒冷地仕様は電熱線やウォッシャー等で雪を溶かす装置(ワイパーでも可)をお願いしたいです。