コンパクトミニバン販売で熾烈な争いを続ける、トヨタシエンタとホンダフリード。室内の広さや装備差、コストパフォーマンスなどを比較すると、結局どっちがいいのか?
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカーWeb編集部
シエンタとフリード、どっちが売れてるのか?
2024年度(2024年4月~2025年3月)の小型/普通車販売ランキングは、1位がトヨタヤリスシリーズ、2位はトヨタカローラシリーズ、3位はトヨタシエンタ、4位は日産ノート+ノートオーラ、5位はホンダフリードであった。
1位から5位までの内、1位、2位、4位は、複数のボディタイプを合計した登録台数だ。例えば1位のヤリスシリーズは、コンパクトハッチバックのヤリス、SUVのヤリスクロス、スポーツモデルのGRヤリスを合計した台数になる。最近の販売内訳は、ヤリスクロスが54%、ヤリスは43%、GRヤリスは3%だ。
カローラシリーズはボディの種類がさらに多く、販売ランキングは2位でも、ボディタイプ別の台数に分割すると順位が下がる。ノート+ノートオーラは、ノートが60%でノートオーラは40%だ。これも台数が二分される。
このような具合だから、ボディタイプ別に算出した時の小型/普通車販売ランキングでは、シエンタが実質的な1位になる。2024年から2025年3月に掛けて、1種類のボディで、1か月平均1万台前後を登録した。ボディタイプ別の2位はフリードで、1か月平均登録台数は約7600台だ。
ちなみに小型/普通車に限定しない2024年度国内総合販売ランキングでは、1位は軽自動車のホンダN-BOXであった。1タイプのボディで、1か月平均約1万7600台を届け出した。2位もボディタイプ別なら軽自動車のスズキスペーシア、3位も同様にダイハツタントで、4位が前述のシエンタ、5位にフリードが入る。
このように見ると、今のボディタイプ別国内販売上位3車は、全高が1700mmを超えてスライドドアを装着した軽自動車のスーパーハイトワゴンで占められる。4位と5位は、コンパクトな3列シートミニバンだ。
今は小型/普通車を中心にSUVが人気を得ているが、販売上位に入るのは、「天井の高いボディにスライドドアを装着したコンパクトなクルマ」になる。小さくて車内の広い実用的な車種が人気だから、N-BOXやスペーシアと、シエンタやフリードの高人気には互いに関連がある。
シエンタが売れてる理由
特に注目されるのがシエンタだ。現行シエンタの発売は2022年8月だから、2023年のN-BOXやスペーシア、2024年のフリードなどに比べて基本設計が古い。それでも国内総合販売ランキングの実質4位、小型/普通車の実質1位になった。その理由は何か?
シエンタが人気を得た背景には、複数の事情がある。まずは3列シートミニバンでは、ボディが最もコンパクトで視界も優れ、運転しやすいことだ。開発者は「全長を4200mm台に抑えることにこだわった」という。シエンタは4260mmでフリードは4310mmだから、わずか50mm短いだけだが、開発者は「お客様に与える印象の違いは小さくない」という。

シエンタのパワーユニットは、直列3気筒1.5Lのノーマルガソリンエンジンとハイブリッドで、後者のGとZは、2WDのWLTCモード燃費が28.2km/L(7人乗り)に達する。この数値もフリードにハイブリッドのe:HEVを搭載したエアーEX・2WD(6人乗り)の25.4km/Lよりも優れている。
安全装備については、シエンタは、床下透過表示機能が備わる人気の高いパノラミックビューモニターをハイブリッドとノーマルガソリンエンジンのGとZに標準装着した。Xもオプション装着できる。
















コメント
コメントの使い方フロントマスクの精悍さを求めるならフリード、ポップさならシエンタかな。個人的には内外装ともにフリードのほうが好み。