アウトバックが受注を終了し、長い歴史に幕を下ろすことになったスバル レガシィ。そこで、片岡英明氏にレガシィ36年7代にわたる歴史を改めて紐解いていただき、レガシィが自動車業界に遺した大きな功績を振り返ってみる。
※本稿は2025年4月のものです
文:片岡英明/写真:スバル ほか
初出:『ベストカー』2025年5月10日号
初代(1989~1993年)
LEGACYは元号が平成に変わった1989年1月に誕生した。4ドアセダンとAWDのツーリングワゴンが用意され、セダンは発売直前にFIA公認の連続10万km速度記録チャレンジを敢行。平均速度の記録を塗り替え、実力の高さを強烈にアピール。
1.8Lエンジンもあったが、主役はスバルが満を持して登場させた新開発の2LのEJ20型水平対向4気筒DOHターボだ。途中で2.2LのSOHCエンジンも登場した。
ブームをけん引したツーリングワゴンのデザインは、あのパラダイス山元氏も担当している。サスペンションは4輪ともストラットで、エアサス仕様も設定されていた。セダンはWRCにワークス参戦し、モータースポーツ向けのRSタイプR/RAも用意し、全日本ラリーなどでも活躍。
●TOPIC
・10万kmを平均223.345km/hの速度で走る国際記録を樹立
・新開発の水平対向エンジンのEJ20を搭載
・ツーリングワゴンブームをけん引
・スバルの経営危機を救った救世主
・セダンでWRCにワークス参戦開始(1990年)
・モータースポーツ向けのRSタイプR&RAを設定し、全日本ラリーなど国内競技で活躍
2代目(1993~1998年)
レガシィは1993年秋に2代目にバトンタッチした。デザインを担当したのは後にベンツや三菱で指揮を執るオリビエ・ブーレイ氏だ。
ツーリングワゴンが人気だったこともあって、熟成を謳いキープコンセプトだったが、バリエーションを積極的に拡大している。リーダーを務めるのは2LのDOHC、2ステージツインターボを積むGTだ。
1994年秋に2.5Lエンジンを積む250Tを投入し、1995年8月にはクロスオーバーSUVの先駆けとなる「グランドワゴン」を仲間に加えた。
1996年にエンジンにメスを入れ、新設定のGT-Bには量産車として初めてビルシュタイン製の倒立式ダンパーを採用。優れたハンドリングに磨きをかけている。グランドワゴンが「ランカスター」と改名したのは1997年夏だ。
●TOPIC
・『継承・熟成』により初代のキープコンセプトのデザイン
・オリビエ・ブーレイ氏がデザインを担当
・2Lターボは2ステージツインターボを採用
・2.5Lモデルを追加
・ビルシュタインの倒立式ダンパー装着のGT-Bを設定
・グランドワゴンはランカスターに車名変更(1997)
3代目(1998~2003年)
第3世代のレガシィは1998年6月にベールを脱いだ。この時はツーリングワゴンとランカスターだけが新型になっている。セダンは「B4」の名を冠して12月に登場した。ランカスター以外は小型車枠の中に収めている。
自慢の水平対向エンジンは「ボクサー・フェイズII」に発展し、2.5Lエンジンも洗練度を高めた。リアサスペンションはマルチリンク式だ。
ツーリングワゴンは最高速度記録を更新し、1999年には時代に先駆けてCCDカメラを搭載した運転支援システムのADAをランカスターに設定。車両挙動安定制御のVDCも実用化している。
また、上質な3Lの水平対向6気筒DOHCエンジン(EZ30型)搭載車も送り込んだ。「六連星」エンブレムを復活させたのは2001年である。
●TOPIC
・セダンがB4に車名変更
・ポルシェデザイン監修のエアロ装着のブリッツェン設定
・S401 STiバージョンを400台限定で販売
・ランカスターにADAを設定(アイサイトの礎)
・3L、水平対向6気筒のEZ30を追加
・マイチェンで6連星のエンブレムが復活

























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