タントやムーヴキャンバス、トールのように、ダイハツの乗用車は広くて快適なクルマが多い。ただ、そんなダイハツにも走りの良いコンパクトハッチバックがいくつかあった。ホットハッチという言葉が良く似合う、ダイハツの走りの番長を3台紹介していこう。
文:佐々木 亘/画像:ベストカーweb編集部
【画像ギャラリー】ダイハツの気合半端ねぇ!! 異次元の走りを見せたクルマたち(8枚)画像ギャラリー新1000㏄スタイル! 熱い走りのストーリア
1998年に登場したストーリアは、プラットフォームから新設計されたリッターカーだ。
エクステリアは丸みを帯びたスタイルで、どちらかというと可愛らしくもある。メッキ処理されたサイドモールやバンパーが特徴的な、上質コンパクトカーという印象も強い。
しかし、そんなイメージを大きく覆すモデルが、販売開始の2か月後となる1998年4月に登場した。それが、モータースポーツ用のベース車両として登場したX4(クロスフォー)だ。
713㏄の直列4気筒DOHCターボのJC-DET型エンジンを搭載したX4。中途半端な排気量は、当時の全日本ラリーAクラスのレギュレーションである「ターボ車は排気量を1.4倍して1000㏄以下に収まること」を守るために必要な措置だった。
X4は小排気量ながら最高出力は120PSを発生。競技車両なので、パワーウィンドウやエアコンは付いていない(エアコンはディーラーオプションで設定)が、ハイポテンシャルなエンジンで、全日本ラリー選手権Aクラスの主力車種として活躍する。
レースに合わせた市販車を作ってしまう当時のダイハツ。気合と根性が桁違いだったのだろう。
ストーリアの後継ブーンはX4も引き継いだ
2004年に発売されたブーン。ダイハツのスモールカー開発技術や生産ノウハウと、トヨタの車両企画力やマーケティング力を結集した、共同開発車である。
エクステリアはイカつ可愛いをキーワードにして、丸みを帯びたパーツの中にエッジの効いたキャラクターラインを取り込む。インテリアにはコラムシフトATを採用し、子供のおむつ替えなどの際に便利な、後席座面のクッションを引き出せるロングクッションモードも用意された。
標準仕様は女性向けの要素が強かったが、ストーリアの後継車となるブーンには、ストーリアでも設定されていたX4グレードが用意される。
X4にはKJ-VET型の936㏄エンジンを搭載し、クロスギアレシオの5速MTを採用。こちらの中途半端な排気量も、モータースポーツ参戦を見越して、JAF公認競技の1.6L未満クラスに収まるためだ。
またボンネットにはダクトが設けられ、インタークーラーに水をスプレーして吸気温度を冷やしパワーアップを図る、ウォータースプレーが搭載されている。ウォータースプレーは、車内からスイッチで操作が可能。
さらにビスカス式のフルタイム4WDが搭載され、フロントには純正で機械式のLSDが組み込まれているという徹底ぶり。ここまでやっちゃうブーンX4は、ホットハッチならぬヤケド注意のアツアツハッチなのだ。
コンパクトRVダントツの走りを実現したYRV
2000年に登場した小型MPVのYRV。開発段階から欧州への輸出が計画されていて、欧州市場を意識した足回りのセッティングが大きな特徴だ。
フロントシートにはベンチシートの快適性とバケットシートのホールド性を融合させた、バケットベンチシートを採用。エンジンは1000㏄と1300㏄の2種類で、1300㏄にはターボエンジンをラインナップしている。
140PSを発生するK3-VET型エンジンは、世界最強の1300㏄エンジンと言われ、940㎏だったYRVの車両重量に対するパワーウェイトレシオは驚異の6.7㎏/PSというハイスペック。見た目のRV感とは大きく違う、爆発的な動力性能を保持している。
かつてのダイハツには、一般的な乗用モデルの中に、走りの激熱グレードが存在した。次なる熱い走りのできる乗用車は、2025年のオートサロンに登場したミライースGR SPORTだろうか。これからは走りのダイハツにも、注目していきたい。











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