三井・あいおいまさかの大合併!? 保険業界再編に期待大

三井・あいおいまさかの大合併!? 保険業界再編に期待大

 2025年3月、MS&ADインシュアランスグループの中核である三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険が、2027年4月の合併に向けて本格的な検討と準備に入ると発表しました。合併が実現すれば、自動車保険市場においては、現在トップシェアの東京海上日動火災保険を抜き、国内首位の保険会社が誕生する見込みです。

文:佐々木 亘/画像:@Adobestock(トップ写真=moonrise@Adobestock)

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合併に伴う現場対応

今回の合併により、4社体制から実質的な3社寡占に近づくことになる(mapo@Adobestock)
今回の合併により、4社体制から実質的な3社寡占に近づくことになる(mapo@Adobestock)

 2024年度の自動車保険市場は、東京海上日動・三井住友海上・あいおいニッセイ同和・損保ジャパンの4社で、約9割のシェアを占めていると推定されています。今回の合併により、この4社体制から実質的な3社寡占に近づくことになるでしょう。

 寡占が進めば、価格競争が鈍くなる可能性がある一方で、規模の拡大による効果を活かした補償内容や事故対応力の強化が起こるなど、利用者にとってプラスとなる側面も期待できます。

 合併が検討されている三井・あいおい両社の保険商品では、補償内容や特約の位置づけなどに微妙な違いがあるため、今回の統合では「どの商品が統一の基準になるのか」「既存契約の継続管理はどうなるのか」といったユーザーに影響が多い部分の確認も必要です。

合併による変化が保険の役割を見つめ直す機会

自分たちの役割を見直し、新しい保険業や商品の提案ができるいい機会になる(butterflyeffect@Adobestock)
自分たちの役割を見直し、新しい保険業や商品の提案ができるいい機会になる(butterflyeffect@Adobestock)

 商品だけではなく、業務システムの変更や運用ルールの一本化にも対応が必要です。もちろん、これは負担というより新しい体制に向けた変革の過程ととらえることもできます。

 これほどまでに大きな合併は、事務効率や提案の一貫性を高めることが可能であり、質やスピードが底上げされることで、多くのユーザーメリットも期待できるでしょう。

 こうした変化は、長い間変わらずにあり続けた保険業界にとって、自分たちの役割を見直す重要な機会です。業界最大手が交代するだけでなく、交代するからこそ新しい保険業や商品の提案ができるいい機会になることでしょう。

ユーザー起点の発想で業界再編に期待!

今回の三井住友海上とあいおいニッセイ同和の合併は、単なる規模拡大効果の追求ではなく、業界全体の変革に向けた転換点となる可能性を秘めている(metamorworks@Adobestock)
今回の三井住友海上とあいおいニッセイ同和の合併は、単なる規模拡大効果の追求ではなく、業界全体の変革に向けた転換点となる可能性を秘めている(metamorworks@Adobestock)

 近年、事故件数は減少の一途をたどる中、車両の高機能化による修理費の高騰や、巧妙化する不正請求への対応強化といった新たな課題が出てきました。そこで問題になっているのが、事故以外の要因でのユーザー負担の増加です。

 ユーザー自身が事故も不正請求もしていないにもかかわらず、高機能車の修理費高騰や不正請求対策にかかる費用といった業界全体の構造的な問題のコストを、保険料という形で負担させられるのは、極めて不条理な状況になっています。

 これが、保険業界の「負のコスト転嫁」とも言うべき慣習であり、今求められているのはユーザー起点での保険料制度の再設計といえるでしょう。

 そういった点からも、今回の三井住友海上とあいおいニッセイ同和の合併は、単なる規模拡大効果の追求ではなく、業界全体の変革に向けた転換点となる可能性を秘めています。

 これからの保険会社に期待することは、本当にリスクが低い人がきちんと得をする制度設計です。また、正直なユーザーが損をする構造を変えていくことになります。今こそ、「とりあえず保険料で回収する」というやり方から、「正しく使う人が報われる保険」へと設計思想を転換しなければならないのです。

 業界の再編をきっかけに、今一度、自分にとって理にかなった自動車保険を選べるよう、その変化には逐一注目していく必要があります。この合併が大きなユーザーメリットになることを期待します。

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