最近は少なくなったが、以前はクルマにあだ名がつくことも多かった。それはメーカー主導ではなく、いつの間にか呼ばれるようになったもの。なかにはありがたくないあだ名もあり、今回はそうした不名誉なあだ名を持つクルマを振り返る。
文:長谷川 敦/写真:トヨタ、フォード、日産、BMW、CarWp.com
【画像ギャラリー】「クラウン」「フェラーリ」などなど…悲しいあだ名をつけられた名車たち(15枚)画像ギャラリー見た目が生んだ残念なあだ名
●ブタケツ→日産 ローレル(2代目)
日産 ローレルは1968年に初代モデルが登場したアッパーミドルクラスのクルマだ。
4ドアセダンの初代ローレル自体は秀作といってよかったが、この時代はよりスポーティなハードトップに人気が集まっていたこともあり、1970年には2ドアハードトップモデルがリリースされた。
ローレルは1972年にモデルチェンジされるのだが、2代目にも2ドアハードトップがラインナップされ、この2ドアが不本意なあだ名で呼ばれることになる。
2代目ローレル2ドアハードトップのあだ名は「ブタケツ」。
リアが大きく盛り上がり、ボリュームを増したテール部分が豚のお尻を連想させることからそう呼ばれるようになったのだが、蔑称ではなく愛称といってもよかった。
実際、2代目ローレルの2ドアハードトップは若者からの人気も高く、多くの人は愛情をこめて「ブタケツ」と呼んでいた。
●クジラ→トヨタ クラウン(4代目)
巨大な体で海を優雅に泳ぐクジラにマイナスのイメージを持つ人はあまりいないだろうが、ことクルマのあだ名となると、果たして良い意味なのか迷ってしまう。
そんなクジラをあだ名にされてしまったのが、1971年にデビューしたトヨタの4代目クラウンだ。
保守的な3代目とはうって変わって空力性能を追求したボディフォルムになった4代目クラウンは、バンパーをボディと一体化させた大胆なデザインを採用し、丸みを帯びたボディラインの見た目がクジラを連想させた。
実際に4代目クラウンを見ると、そこまでクジラに似ているとも思えないのだが、4代目がクジラクラウンと呼ばれたのは事実で、アクの強いデザインを評価しない人も多く、商業面では成功しなかった。
結局、後継の5代目クラウンでは従来の路線に回帰している。
状況が招いた変わったあだ名
●六本木のカローラ→BMW 3シリーズ(E30)
バブル景気が華かなりし1980年代末期は、高級車が飛ぶように売れた時代でもあった。
好景気に沸く日本では、それまでも人気の高かったドイツ車が一気に販売台数を伸ばし、街中で見かける機会もグッと増えた。
その傾向はバブルを象徴する街の六本木で顕著で、路上のあちこちでドイツのBMW 3シリーズが目撃され、ついたあだ名が「六本木のカローラ」。
要するに、高価なはずのBMWが大衆車であるカローラ並みの頻度で目にされたということ。
言われた本人(?)のBMWにとっては迷惑な話で、カローラにとっても思わぬ流れ弾だった。
この時代、メルセデスベンツのなかではコンパクトかつ比較的リーズナブルな価格の190Eをややバカにして「小ベンツ」と呼ぶこともあり、それもまた日本の浮かれ具合を象徴していた。
そしてバブルは弾け、六本木のカローラというあだ名も歴史の中に消えていった。
●走る不動産→フェラーリ F40
バブル景気がらみで生まれたあだ名をもうひとつ。
1987年に創業40周年を迎えたイタリアのフェラーリが、それを記念して製作したスーパースポーツカーのF40。
3リッターV8ターボエンジンを搭載したF40の最高速度は324km/hと、圧倒的なパフォーマンスを誇っていたが、販売価格もそれ相応であり、新車価格も当時で4650万円と破格。
だが、限定生産だったF40にはさらにプレミアム価格がつき、2億5000万円に達するケースもあったという。
日本のバブル景気は不動産価格の高騰に起因することが大きく、不動産売買で財を成した人も多かった。
F40の購入者には不動産王もいたが、クルマの価格高騰も不動産になぞらえてF40は「走る不動産」と呼ばれるようになってしまった。
あまり名誉なあだ名ではないが、時代をよく表しているともいえる。
日産が1988年にデビューさせた高級車の初代シーマも、F40とは桁は違えど価格高騰があり、こちらもまた走る不動産といわれることがあった。



















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