現在はミニバンの開発・生産から撤退しているマツダもかつては、複数のミニバンをラインナップしており、未だに根強いファンも多い。なかでもMPVは3列シート車でありながら、走りの性能も比較的高く、最終型には2.3Lターボモデルもラインナップするなど、他のメーカーのミニバンとは一線を画していた。そんなMPVの初代モデルは、最終型とかなり毛色が違っていたのをご存じだろうか。
文:小鮒 康一/画像:マツダ、ダッジ、ベストカーWeb編集部
アメリカ向けに開発された初代MPV
1990年1月に日本で販売を開始した初代MPVだが、実はそれよりも前の1988年10月にアメリカで販売をスタートさせ、彼の地で高い人気を集めたモデルとなっていた。
当時のアメリカではダッジ キャラバン(日産キャラバンとは別もの)が新しいジャンル「ミニバン」として人気を博しており、MPVのスタイルはその影響を色濃く反映したものとなっていたのだ。ただ当時はまだミニバンという言葉が一般的ではなかったため、日本では「新しいカテゴリーの多目的高級サルーン」としている。
元々ピックアップトラックなどが人気のアメリカを主戦場にしたMPVは、ミニバンでありながら背の高いスタイルとなっており、結果的にそれが広い室内空間を実現していた。
プラットフォームはマツダの高級モデルであるルーチェ系のものを使用しており、駆動方式はなんとFR。北米市場がメインということで、当初はV6 3.0Lのガソリンエンジンと本革シートを備えるグレードのみだったのだが、日本でもじわじわと人気が出てくると、1990年10月にはファブリックシート仕様も追加している。
後期型からは4WDモデルも追加
1991年11月からは当時存在していたアンフィニブランド扱いとなり、正式な車名はアンフィニMPVとして電動ガラスサンルーフ仕様を新設するなど、バリエーションも拡大していった。
1995年1月には直列4気筒2.5Lガソリンエンジン仕様を、同年10月には直列4気筒2.5Lディーゼルターボ仕様を追加し、パートタイム4WDモデルも新設定。
この4WDモデルは最低地上高が高められ、大型フォグランプを備えたフロントグリルやサイドステップ、ルーフレールなどが備わりSUVを思わせるスタイルに変貌していたのも面白いところだった。
ただこのSUVスタイルは初代の4WDモデルのみで、1999年6月に登場した2代目以降ではスライドドアを備えたスタンダードなミニバンスタイルに落ち着いてしまったのだった。


コメント
コメントの使い方ツートンの後期モデルを長く所有していましたが、SUVよりはずっとミニバンに近い感覚でした。
広くて快適な後席、豪華感を出した内装、厚いシートなど。一方でエンジンのカタログ内容やFRで期待した走りの面では期待外れでした。
しかしそれでいい、それがいいという車種です。言葉としてSUVはポジでミニバンはネガ、という感覚は古いと思います