いよいよペダル踏み間違い加速抑制装置が義務化!! 2028年9月発売以降に発売される新車が対象!!! はたして高齢者の踏み間違い事故がなくなる?

いよいよペダル踏み間違い加速抑制装置が義務化!! 2028年9月発売以降に発売される新車が対象!!! はたして高齢者の踏み間違い事故がなくなる?

 高齢ドライバーによるペダル踏み間違い事故を防ぐ加速抑制装置の装着が、いよいよ義務化されます。国土交通省が定めた新制度とは何か? ドライバー必見の情報をわかりやすく解説します。

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(トビラ画像:sh240@Adobe Stock)

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「ペダル踏み間違い事故」対策が本格化!!

ペダル踏み間違い事故は深刻な問題だ(トップ画像=naka@Adobe Stock)
ペダル踏み間違い事故は深刻な問題だ(トップ画像=naka@Adobe Stock)

 国土交通省は6月17日、道路運送車両の保安基準等を一部改正し、2028年9月1日以降の新型乗用車(輸入車は2029年9月1日)を対象にペダル踏み間違い時加速抑制装置の搭載を義務付けると発表しました。

 ペダル踏み間違い時加速抑制装置は、2024年11月に開催された国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)において、日本発の安全技術として、国連基準化され、今後の世界スタンダードとして認められています。

 高齢者によるペダルの踏み間違い事故——ニュースでたびたび耳にするこの痛ましい交通事故がこれで解消に向かうのでしょうか。

 ペダル踏み間違い事故は年間約6000件発生し、75歳以上の高齢運転者による死亡事故のうち約15%が「アクセルとブレーキの踏み間違い」によるというデータがあります。これは統計上、若年層に比べて約6倍にも上る高い割合であり、社会的にも放置できない課題です。

加速抑制装置ってどんなもの? どんな事故を防ぐのか

 加速抑制装置とは、ドライバーが誤ってアクセルを強く踏み込んだ際に、前方に障害物があれば加速を抑制する仕組みです。多くの装置では、車両前方のカメラやレーダーで障害物を検知し、誤発進時の加速をカット、またはアイドリング程度に抑えます。

 ポイントはあくまでも加速を抑制するということで、自動停止はしない。あくまでもブレーキ操作はドライバー自身が行います。

 具体的な状況としては、コンビニなどの駐車場でブレーキと間違えてアクセルを踏んでしまい、店内に突っ込むという事故が典型例です。装置が作動すれば、その場で加速が抑えられ、大事故の発生を未然に防ぐことが可能になります。

国土交通省が公開したペダル踏み間違い時加速抑制装置の資料
国土交通省が公開したペダル踏み間違い時加速抑制装置の資料

 今回、国土交通省が発表した対象車両については、運転者がクラッチ操作を必要としない乗用車(乗車定員10人未満)です。つまりATやCVT車でMT車は除外されています。電気自動車を含め、これらのAT車は国際基準の「ペダル踏み間違い時加速抑制装置に係る協定規則」に適合する装置を備えなければならないとしています。

 テストに合格する要件としては、障害物の手前1.0mおよび1.5mに停止状態で、アクセルをフルストロークまで踏み込んだ場合に、次のいずれかであることと規定されています。

・障害物に衝突しないこと
・障害物との衝突時の速度が8km/hを超えず、障害物がない状態に比べて30%以上速度が低下していること

 ドライバーへの警報に関する要件としては視覚警報が必須。これはメーター内に警告表示すると思われます。さらに機能の解除条件に関する要件では、解除中のドライバーへの表示、機能の復帰条件などとなっています。

 これについては、加速抑制装置が解除されているということを表示し、また加速抑制装置の一時停止および再始動など復帰する機能を備えていなければならないとしています。

N-BOXのペダル踏み間違い加速抑制装置
N-BOXのペダル踏み間違い加速抑制装置

 現在、各メーカーが一部車種に標準またはオプション設定している加速抑制機能は、主に以下のような状況で作動します。

・前向き駐車をする際、前方の壁や他の車両に近づいている状況で誤ってアクセルペダルを強く踏みこんだ
・バック駐車をする際、後方に壁や車両がある状況で誤ってアクセルペダルを強く踏みこんだ
・信号待ちや渋滞中で前方車両がいるなか、誤ってアクセルペダルを強く踏んだ
・駐車スペースから後退して出る際、シフトを「D」に入れて前進し、焦った勢いでアクセルペダルを強く踏みこんだ

 注意点としては、加速抑制装置には、ウインカー操作時や急な登坂の発進・加速時、ブレーキ停車中からの発進など作動を行わないケースもあるので、細かい仕様はチェックする必要があります。

既販車でも「後付け」はできる? どう選べばいい?

トヨタの後付けオプション、踏み間違い加速抑制システム
トヨタの後付けオプション、踏み間違い加速抑制システム

 一方、すでに販売済みのクルマ(既販車)については後付けの加速抑制装置が各社から登場しています。トヨタの「踏み間違い加速抑制システム」や、デンソー、パイオニアなどのサプライヤーが展開する後付けユニットがその例です。

 ただし注意点もあります。後付け装置には車種ごとの適合があるため、すべてのクルマに取り付け可能とは限りません。また、費用も本体価格+工賃で5万円〜10万円程度が一般的で、高性能タイプになると10万円を超える場合もあります。

 取付けを検討する場合は、まずディーラーや用品店で「車種適合表」の確認を。そして「障害物検知の方式」「作動条件」「保証の有無」などをしっかり比較しましょう。

量販店で販売されている急加速抑制装置ペダルの見張り番II。対象車種200車以上。価格は4万4000円
量販店で販売されている急加速抑制装置ペダルの見張り番II。対象車種200車以上。価格は4万4000円

編集部まとめ:「装置を過信しない」意識も重要

ペダル踏み間違い加速抑制装置は加速を抑制するだけで、ブレーキ操作はしない(Adobe Stock@beeboys)
ペダル踏み間違い加速抑制装置は加速を抑制するだけで、ブレーキ操作はしない(Adobe Stock@beeboys)

 いくら優れた加速抑制装置でも、完全な自動運転ではありません。加速は抑制しても自動で停止する装置ではなく、自身でブレーキペダルを踏んで停止するということを忘れてはいけません。

 また壁が斜めだったり、針金、フェンス、標識の支柱など細い障害物、人、布、生垣などの音波が反射しにくい障害物、スポンジ、雪など超音波を吸収しやすい障害物、センサーに泥や雪、氷だったり、障害物と車両の間を自転車や歩行者が横切った時など正常に作動しない場合があります。

 最終的に事故を防ぐのは「人の注意力と判断力」です。むしろ装置の存在によって過信が生まれ、注意力が低下することも懸念されます。

 ペダル踏み間違いの多くは、慣れた環境・普段の運転時に発生します。つまり「自分は大丈夫」と思っている人ほど注意が必要。特に長年マイカー通勤しているような方こそ、装置と意識の両面から安全対策を進めてほしいものです。

 加えて、すでに販売済みのクルマへの装着率を上げていかなければいけません。地方の高齢者に限ったことではありませんが、既販車に加速抑制装置を取り付けないとペダル踏み間違え事故はなくならないでしょう。

 踏み間違い事故を起こしやすい高齢ドライバーの後付け装置に対する補助金の導入や、既販車の次回車検時に、高齢ドライバーが使用する既販車に加速抑制装置の取り付けを義務付けるなどの処置が必要かもしれません。

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