2025年5月9日から14日にかけて、日本の自動車メーカー各社が2025年3月期(2024年度通期)の決算を相次いで発表した。2023年度には過去最高益を記録したトヨタだが、2024年度は減益。認証不正などの影響はあったのだろうか?
※本稿は2025年5月のものです
文:井元康一郎/写真:トヨタ ほか
初出:『ベストカー』2025年6月26日号
トヨタの2024年度通期決算
トヨタ自動車の2024年度決算は前期に引き続き好調だった。売上高は48兆367億円と過去最高。営業利益は4兆7955億円と前の期の5兆3529億円に比べて減少したが、営業利益率は10%と依然として高水準。認証不正など大きな逆風もあったことを勘案すると至極立派なスコアである。
利益が過去最高となった2023年度に対して減益となった最大要因は販売費用など諸経費の増加で6200億円のマイナス。次いで資材高騰が2850億円、人件費増2350億円など。
これだけで1兆円以上の利益押し下げだが、為替変動で5900億円、コスト削減で2850億円など大きなプラス要因もあり、下落が最小限に抑えられた。
この業績はトヨタが2010年代にクルマ作りの開発、生産効率を上げるための新アーキテクチャーTNGAの導入をはじめ、コスト削減にまい進してきた果実を存分に収穫する時期を迎えていることを示している。
また直近ではやや円高に振れているものの、5年前に比べると依然として為替が大幅に円安に振れているのも追い風となっている。
今後の課題は海外収益の改善だろう。所在地別の営業利益をみると、日本が3兆1587億円と約3分の2を占めている。これは本拠地の日本が儲かってめでたいという単純な話ではなく、円安を生かした日本からの輸出で得られる利益への依存度が高いことを示している。
懸案は人件費高騰などでコストが高止まりし、競争激化でインセンティブ(販売奨励金)もかさむ北米で、利益率は0.5%と赤字ぎりぎりの水準に落ちた。今は日本からの輸出で平準化できているが、トランプ大統領の関税政策次第では北米での生産を増やさなければならない。このあたりが今後の不確定要素となろう。
100%子会社であるダイハツの決算公告が出るのは6月だが、赤字に転落した2023年度に引き続き厳しい決算が予想される。
今期は認証不正の影響から脱するとともに「ムーヴ」など新商品の投入も再開されるので、状況は少しずつ改善に向かうものと見られる。トヨタの100%子会社になってから収益力は低下の一途をたどってきただけに、そろそろ反転策が欲しいところだ。


















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