2025年5月9日から14日にかけて、日本の自動車メーカー各社が2025年3月期(2024年度通期)の決算を相次いで発表した。二輪部門が好調なホンダは営業利益の半分以上を二輪車に依るが、四輪部門の利益に上昇の目はあるのか?
※本稿は2025年5月のものです
文:井元康一郎/写真:ホンダ ほか
初出:『ベストカー』2025年6月26日号
ホンダの2024年度通期決算
ホンダの2024年度決算は、売上高が増加、利益が減少という増収減益。売上高21兆6887億円、営業利益は1兆2134億円、営業利益率は5.6%。
トータルでは悪くない数字だが、懸念は四輪車ビジネスの調子が上がってこないこと。営業利益の6割は売上高3兆6266億円の二輪事業によるもので、四輪車は14兆4678億円に対して利益は2438億円、営業利益率はわずか1.7%である。
実際の状況はこの数値よりは幾分マシ。今期は品質関連費用の計上法が変更されたことによるマイナスが加味されており、それがなければ営業利益率は2.6%まで上昇する。
また二輪、四輪、ホンダジェットを含む汎用と複数の事業を行っている関係で、通常は加味される販売金融による利益が別計算になっている。それを勘案すれば実質営業利益率は4%前後になると見られる。
とはいえ、利益率を4%と見ても自動車事業としてはかなり悪い。決算発表で三部敏宏社長は「高収益を出せる体質はできている」と強弁するが、四輪車の利益が低いというこれまでの構図は基本的に変わっていないということが浮き彫りになった格好だ。
利益縮小の最大の原因は北米市場での競争激化によるインセンティブの増大で、2531億円の減益要因。研究開発費も通期で1279億円増加しており、利益を圧迫した。一方、ホンダが成功したのは値上げで、営業利益を3263億円押し上げた。これがなければ四輪事業は赤字に転落していたところだった。
今後の不安材料は販売の低空飛行だろう。四輪車の世界販売は371万台と、2023年度に比べて約1割減った。コロナショック前の2019年の518万台との対比では実に3割近くもの減少だ。
新商品の投入などで反転させたいところだが、販売減の大半がBYD、吉利などの新興勢力に圧倒されている中国であることから、簡単ではないとみられ、妙手が見当たらない。
今期の予想は6500億円の関税影響を見込み、営業利益が5000億円にまで縮小するというもの。逆風の中で低収益をどう克服していくか、難しい舵取りを迫られている。














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