2025年5月9日から14日にかけて、日本の自動車メーカー各社が2025年3月期(2024年度通期)の決算を相次いで発表した。前期からは減収減益で厳しい結果となったスバル。さらにアメリカの「あの男」の政策が追い討ちをかける!?
※本稿は2025年5月のものです
文:井元康一郎/写真:スバル、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年6月26日号
スバルの2024年度通期決算
スバルの2024年度決算は売上高が過去最高だった2023年度から微減の4兆6858億円、営業利益は13.4%減の4053億円の減収減益。営業利益率は10%から8.6%へと低下した。日本の完成車メーカーとしては利益率3位を死守したが、スバルとしては厳しい結果といえる。
なぜ減収減益になったかだが、決算の内容を見るとスバルの戦略が他メーカーと異なるものだったことが見て取れる。
各社が軒並み北米での販売激化に巻き込まれ、値引きの原資となる販売店へのインセンティブが膨らんだのに対し、スバルは値引きで販売台数を防衛してブランド価値を毀損するくらいなら、値引き合戦に負けたほうがマシだというスタンスを取った。
その結果、販売台数が減少し売上も減った一方で、利益低下の要因となる固定費はむしろ減少。1台あたりの利幅水準も落とさなかった。売上高で拮抗するマツダと対照的な状況だ。
もっとも、2025年度も上手く立ち回れるとは限らない。スバルは売上の実に4分の3以上が北米という北米偏重体質を20年間にわたって改善できないままここまできた。
よりによってその北米がトランプ関税で大揺れ。スバルはもちろん北米での現地生産も行っているものの日本からの輸出比率は高く、関税の影響を大きく受ける。
決算発表では2025年度の営業利益について「1000億円をボトムとしてどれだけ上積みできるかチャレンジする」と、きわめて厳しい見解が示された。まさに試練の時と言える。


















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