「金は無いけどマイティボーイ」という歌詞を覚えている人は確実にアラフィフ以上と言えるだろうが、今でもそれを覚えているほど強烈な印象を残したのが、マー坊ことスズキのマイティボーイだ。ジャンルに当てはめるのであれば軽トラックに分類されるが、実際には安価に購入することができる若者向けのアシグルマとしてのキャラクターが強く、類を見ないコンセプトで高い人気を誇っている。
文:小鮒 康一/画像:スズキ
【画像ギャラリー】実用性皆無だけどそれがイイのよ! 愛らしさ満載でアシ車としても優秀だったマイティボーイ! (8枚)画像ギャラリー新車価格45万円のマー坊
1983年2月に販売を開始したマイティボーイは、前年6月に登場していた2代目セルボをベースとし、Bピラーより後方を荷台とした軽ピックアップトラックとなっていた。
いうまでもなく軽自動車枠内に収めるためにボディサイズの拡大なども許されなかったため、荷台の全長は660mmと非常にミニマムで、最大積載量も200kgと純粋な積載能力で考えるとセルボの方が上と言えるものとなっており、軽トラックとしての実用性はほぼ皆無となっていた。
その一方で、Bピラーより前はセルボと同様のスペースを誇っていたためキャビンは広く、ドライビングポジションも乗用車的なもので、若いカップルなどにはピッタリの1台とも言えるものだった。
そして何よりスタート価格が45万円と、ベースのセルボの最も安価なモデルの58万円を大きく下回るものとなっていたのも若者には嬉しいポイントとなっていたのである。
いまこそアルトのピックトラックなんてどうですか?
ただ価格を抑えるために、ベースこそセルボであるものの、インテリアや丸型ヘッドライトなど、初代アルトの廉価なものが使用されており、スペシャリティクーペのセルボとは対極に位置するような装備となっていたのはご愛嬌だった。
このように実用性は二の次で、徹底した低価格と圧倒的な個性を持って登場したマイティボーイ。商業的には成功したとまでは言えない結果となってしまったが、今でも根強いファンが多いことからも愛され続けるモデルとなったことは間違いない。
結局、このマイティボーイを最後に軽自動車のピックアップトラックは存在していないが、ハイラックスやトライトンが人気を集めている現在だからこそ、アルトのリアを荷台とした遊び心溢れる現代版マイティボーイが登場したらスマッシュヒットを記録するかもしれない。










コメント
コメントの使い方・SJ30のシャシにマー坊のボディを乗せるスワップがごく一部で行われたと聞く。最高にニッチでカッコイイ。正直、今でも欲しい。
・マー坊の後継は、いすゞMuだと思う。どっちにしてもその後は続いていないが……
こういう強い個性の 「変なクルマ(褒め言葉)」 が作れてこそ、優秀な日本の自動車メーカーだ。マツダロータリー然り、AW11 や SERA 然り。