分け隔てなく、すべての自動車に興味を持つテリーさんは、実はファミリーカーのエキスパートでもある。ふとしたきっかけから乗った小型ハイトワゴンの魅力にすっかりハマり、今回取り上げるスズキ ソリオにも興味シンシンだ!!
※本稿は2025年5月のものです
文:テリー伊藤/写真:西尾タクト、スズキ
初出:『ベストカー』2025年6月26日号
実はファミリーカーにも造詣が深いテリーさん
元気なうちに103台のクルマを買い、乗りまくることを誓っている私だが、実は「ファミリーカーのプロ」という顔も持っている。
というのも、ワケあって義理兄のトヨタ ルーミーを譲り受けて仕事用に使っていたところ、ベラボウに便利でその魅力にハマってしまった経験があるからだ。
ルーミーのいいところなら際限なく挙げられる。ボディがコンパクトで運転しやすい、それなのに室内が広い、必要充分な装備が揃っている、そして何より、セレブなご婦人たちに大変評判がいい。
そうなのだ、シートの高さがちょうどよく、ピラーも立ち気味でスライドドアのハイトワゴンは、抜群に乗り降りがしやすい。それが女性にウケるのである。
ルーミーで小型ハイトワゴンの魅力を知った私は今、仕事用、日常用のアシとして2列シートのフリードクロスターを使っているが、これも快適。日本車の真髄は軽自動車と小型ハイトワゴンに集約されているのではないかと思えるほどだ。
で、スズキ ソリオである。マイナーチェンジしたばかりのソリオは大いに気になるクルマ。気合い充分で試乗に挑んだわけだが、競合車と比べるのはあまり意味がないな、というのが正直な感想だ。
それぞれに一長一短あり、違いも差もわずか。購入の決め手になるのはデザインの好み、支払い総額、販売店の場所、営業マンとの相性などクルマの性能以外の要素が大きい。それが実際のところではないだろうか。
クルマ好きは関心が薄いかもしれないが、そんな人でも、旅先でレンタカーを選ぶとしたらソリオは最有力候補になるだろう。ファミリーカーとして秀逸なのは間違いない。
ソリオに始まりソリオに終わる
「釣りはフナに始まりフナに終わる」という格言がある。もしかしたら、クルマは「ソリオに始まりソリオに終わる」のかもしれない。
つまりこういうことである。中古のソリオでカーライフをスタートし、社会的に成功して高級車に乗れるようになった人がいるとする。何台も高級車を乗り継いでいるなかで、ある時フト思うのである。「ソリオで、仲間とドライブしていた頃が一番楽しかったな」と。
そして最新のソリオを購入し、その便利さにすっかりハマり、手放せなくなる。それが「ソリオに始まりソリオに終わる」の意味である。
そもそもそんなに昔からソリオはなかったし、空想に過ぎない話だが、あながち間違ってはいないと思う。歳をとって、ソリオのような小型車に戻る人は少なくないのだ。
別の言い方をすれば、ソリオは「白米」なのかもしれない。日本人の主食であり原点。食生活が変わろうとも子どもたちは米で成長し、海外から帰国すると真っ先に食べたくなる。これぞ「原点」であり、ソリオはクルマの「原点回帰」なのだ。
大満足である。便利、安い、使いやすいなど、道具としては満点のクルマであることが確認できた。売れるのも当然だ。
だが、最後にひとつだけ言っておきたいことがある。ベース車とエアロ仕様のカスタムの2種類を設定する方式をいつまで続けるつもりなのか、ということである。また、デザインも「道具すぎる」のが気になる。
例えばフランス車に乗っていた人は、ソリオには(ルーミーにも)乗り換えないだろう。放っておくと、中国や韓国のメーカーがシャレたフォルムのファミリーカーを生み出し、日本車はあっという間に置いていかれる可能性がある。
今、売れているからといってここに安住していると、意外と早く「オワコン」になってしまう危険性を秘めていると思うのだ。
日本車メーカーにはぜひ、女性誌の表紙が似合うようなオシャレなファミリーカーを発明してほしい。


















コメント
コメントの使い方後部座席のオットマンはないのね。スペーシアに付けたから付いてくると思ったのに。税金さえもう少し安ければ、これくらいがいいな。