後付けでタービンを追加する、いわゆる「お手軽な」チューニング方法として認識されているポン付けターボだが、アメリカでそのイメージを大きく覆す車両が発見された。なんとフェアレディZを800馬力にパワーアップするという…。その内容とは?
文:古賀貴司(自動車王国) 情報元:AMS Performance
【画像ギャラリー】迫力すご!!! 800馬力日産フェアレディZの姿が衝撃すぎた(4枚)画像ギャラリー■様々なモンスターマシンを生んできたチューニング界の雄
アメリカのチューニング界で圧倒的な実力を誇る「AMS Performance」が、また一つ業界の常識を覆した。
エンジン・フルノーマル、純正トランスミッションという組み合わせながら、日産フェアレディZが怪物へと進化した。
最高出力820馬力を発生させ、0-400m加速9.23秒(400m通過時、240km/h)という記録を叩き出したのだ。
その秘密は、“ポン付け”可能な現在、開発中のターボチャージャーとソフトウェアチューニングのみである。
AMS Performanceは2001年の創業以来、三菱ランサー・エボリューションや日産スカイラインGT-Rをターゲットに高性能パーツ開発で世界中のレースシーンを席巻してきた。
特に2010年代のGT-R「Alpha Omega」では1600馬力超を記録し、0-400m加速や最高速トライアルで世界記録を次々と更新。
2013年にはGT-R「Omega」で0-400m加速7秒台を達成し、アメリカを代表するチューニングメーカーとして確固たる地位を築いた。
800馬力の源はターボチャージャーとソフトウェアチューニングのみ
今回の記録で最も驚くべきは、エンジン内部に一切手を加えていない点である。通常、これほどのパワーアップにはピストンやコンロッドといった内部パーツの強化が必要とされる。
しかしAMS Performanceは、外部パーツの組み合わせと緻密なセッティングだけで、この偉業を成し遂げた。ただし、「ポン付け」と言っても、実際の仕様は決して単純ではない。
燃料系統では、ダイレクトインジェクションとポートインジェクションのデュアル燃料システムを構築。
AMS Stage 3高圧燃料ポンプ、Stage 3ダイレクトインジェクター、ポートインジェクションマニホールド、デュアルインタンク燃料ポンプシステム、さらにInjector Dynamics 1050xポートインジェクターまで投入している。
冷却系統もAMSのフェアレディZ専用ヒートエクスチェンジャーとインタークーラーで強化し、足回りもSPLリアキャンバーアーム、トラクションアーム、ソリッドディフブッシングで固めている。
タイヤは本格的なドラッグレース仕様で、フロントにMH Racemaster26インチ、リアには28×10.0×15のHoosierスリックを装着。
シートもSparcoレースシートに変更し、軽量化へのこだわりも見え隠れする。
フェアレディZのポテンシャルの高さも際立つ
それにしても、だ。ベースグレードで405馬力、ニスモでも420馬力の純正VR30DETTエンジンが、まさか倍のパワーに耐えるとは誰が想像しただろうか。
日産の技術陣が設計したV6ツインターボエンジンは、表面上のスペック以上のマージンを持って作られているのだろう。
まぁ、メーカーが消費者に求められる耐久性を満たすか否かは、今回のテストでは分からないのが正直なところではあるが。
いずれにせよ今回の快挙で注目すべきは、比較的手軽なボルトオンパーツで実現されている点だ。
AMS Performanceは「この数年間でプラットフォーム向けに開発してきたパーツカタログの成果」と説明している。
つまり、一般ユーザーでも同様の改造が可能ということになる。
ボルトオンパーツだけで800馬力超えが可能となれば、パワー志向のユーザーには極めて魅力的な選択肢となる。
車両価格に対するパフォーマンスの費用対効果は、間違いなくクラストップレベルだ。
AMS Performanceの成功例は、日産フェアレディZの隠れた実力を証明すると同時に、チューニング業界に新たな可能性を示している。
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コメント
コメントの使い方ZN6のポン付けターボとECUでほぼ倍の380馬力出せますし、GRヤリスなんてECUと触媒だけで500馬力超えできますからね
ロマンあって個人的には好きですが、じゃあ実際に走れて面白いかというのは、数字と直線加速だけじゃ測れない。
やはり素性としての剛性と軽さ、そして壊れにくさ。これらの両立が何よりも大事