近ごろではずいぶんと数を減らしてしまったホットハッチ。しかし少なくなったとはいえ個性的な面々が残っている。ここでは最強FFホットハッチ、ホンダ シビックタイプRの魅力を、GRカローラ比較しながら解き明かしてみよう。
※本稿は2025年6月のものです
文:松田秀士/写真:奥隅圭之、ホンダ ほか
初出:『ベストカー』2025年7月10日号
FFで究極の走りを求めたシビックタイプR
とても気になるのがシビックタイプR。もともと499万円だったが、プラス100万円の「レーシングブラックパッケージ」が販売中。
まずパワー比較。実はGRカローラ、トルクアップして304ps/40.8kgm。タイプRは330ps/42.8kgm。この差は1.6L、3気筒ターボと2L、4気筒ターボの差でもある。タイプRは6MTなので加速感ではやはりタイプRだろう。
ただしGRの8ATはシフトラグが短く、加速感に大きな差はない。しかしやはり4気筒のレーシングサウンドは脳内活性物質増産に大いに貢献している。ヤル気にさせるわ!
タイプRは減衰力可変ダンパーを採用しているので、レーシングなONとゆったりのOFFが使い分けられるメリットもある。リアラゲッジも広い。
でも、どこまでいってもFFである。4WDのトラクションにはかなわない。
比較試乗して感じるのは、サイズ感。GRカローラは一回りとまではいかないまでもコンパクトで軽快さがある。
そこでボクの頭をよぎったのが先日試乗したゴルフR。可変ダンパーのDCCをコンフォートにすると信じられない乗り心地の一方で「スポーツ+」だとサスストロークを持たせながら腰のあるコーナリング。新機構の4WDの制御も素晴らしい。ま、約750万円で少し高いが。
そのほかラグジュアリーで過激なレクサスLBX MORIZO RRもあるし、いやいや、ホットハッチ、今でも楽しいですよ!
ホンダ シビックタイプR レーシングブラックパッケージ 599万8300円
徹底的にサーキットでのラップタイム短縮を目指して開発されたシビックタイプR。330ps、42.8kgmをフロント2輪で受け止めるサスペンションチューンが絶妙。
●ホンダ シビックタイプR レーシングブラックパッケージ 主要諸元
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ K20C
・ボア×ストローク、総排気量:86.0×85.9mm、1995cc
・最高出力:330ps/6500rpm
・最大トルク:42.8kgm/2600-4000rpm
・トランスミッション:6速MT
・全長×全幅×全高:4595×1890×1405mm
・ホイールベース:2735mm
・車両重量、前軸重/後軸重:1430kg、890kg/540kg
・フロントサスペンション:マクファーソン式
・リアサスペンション:マルチリンク式
・タイヤサイズ:265/30ZR19
・タイヤ銘柄:ミシュラン パイロットスポーツ4S
・WLTCモード燃費:12.5km/L
●採点チェック(10点満点で0.5点刻みで採点)
・フットワークの軽快感:8点
・コーナリングの安定感:8.5点
・操縦性の確実さ:8.5点
・高速巡航の安定感:9点
・運転のワクワク感:9点
・アクセルレスポンス:9点
・パワー感:9点
・トルク感:9点
・総合的評価:8.5点



























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