どうしてもトヨタが好きで、トヨタの内情を知りたい!! ということで自腹でレースやラリー現場に足をはこぶ大学生に原稿をもらってみることに。正直なところまだまだ甘いところもありますが、次世代人材としてあたたかい目で見てあげてください。今回はスーパー耐久で魅せたトヨタに新技術に迫ってもらいます!
文/:大学生くま吉くん/写真:大学生くま吉くん、トヨタ、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】S耐でGRカローラが魅せた!! 高出力×低燃費を実現する驚きのトヨタ水素エンジン!(4枚)画像ギャラリー市販化に向けた新たな燃焼切り替えシステム
トヨタがS耐という過酷な現場で鍛えてきた水素エンジン。5年目の挑戦となる今回からは「ROOKIE RACING」と「TOYOTA GAZOO RACING」が合わさり、新たに「TGRR」としての挑戦となり、カラーリングも一新されたが、肝心の中身はどのような進化を遂げたのか!?
実際に著者がS耐富士24hの場で取材をしてきたが、中身もカラーリングに負けない進化を遂げてた!!
今回、一番の進化のポイントは新たな燃焼切り替えシステムだろう。従来の液体水素エンジンGRカローラは、出力を高めるために「ストイキ燃焼」を用いていた。これは燃料と酸素を理想的な比率で燃やすことで、高い出力が得られる燃焼方式となる。
しかし、実際に市販を目指すならば、常にアクセル全開というわけではない。筆者も最近免許を取得して実感したが、一般道でアクセルを全開にする機会はほとんどなかった。そのため一般道を走る際には、低出力でも燃費よく走れる技術が求められる訳だ。
実用化に向けて大きな一歩前進!
そこでトヨタ自動車は、高い出力が得られるストイキ燃焼と低燃費を実現するリーン燃焼をドライバーの要求に応じて自動で切り替える技術を開発!! 実際、今年は去年に比べて航続距離を、若干伸ばすことに成功したのだ。
一方で、今回に限ると「ストイキ燃焼とリーン燃焼の切り替えは、航続距離向上にはあまり関係がない可能性がある」とトヨタ自動車の伊東直昭さんは語る。
ではなぜ航続距離が向上したのか、それに関して、伊東さんは「むしろ新開発の充填バルブと岩谷産業さんが給水素の際に新しい挑戦をしてくれたことの方が航続距離向上には関係している」と答えたうえで、「ただ燃焼の切り替え自体はスムーズに進んだ。たくさんのデータが取れたので持ち帰って分析をしたい。初めての挑戦としては良かった」とも述べている。
これは、水素エンジンの市販化を目指すにあたって、大きな進歩となるだろう。
新型充填バブルと岩谷産業の挑戦ってナニ!?
次に先ほど伊東さんが語っていた「新開発の充填バルブと岩谷産業さんが給水素の際に新しい挑戦をしてくれたこと」について紹介しようと思う。
従来の水素充填では、バルブの開閉を外部からのアクチュエーターで制御していたそうだ。しかし、このやり方では、「水素充填時の流路面積拡大に限界があり、加えて−253℃の環境下における密閉性や積載スペースに課題があった」と担当者は語る。
そこで今回は、内部ピストン構造を新たに採用した新型バルブを開発。これにより、充填時の流量を3割向上させることに成功! さらに、外部アクチュエーターが不要となったことで2kgの軽量化を実現。構造の簡素化により、水素漏れのリスクも抑制したのだ。
また、岩谷産業は新しい充填バルブを使う中で、充填スピードを上げつつ、なるべく低い温度で水素を充填する方法に挑戦!! その結果、水素の密度が上がり、航続距離が大幅にアップしたことに繫がった。
ワイヤーハーネスの一部アルミ化による車体の軽量化
三つ目の進化はワイヤーハーネスの一部アルミ化だ。
そもそもクルマには多くの銅製の導線(ワイヤーハーネス)が使われているが、今回トヨタは古河電気工業株式会社と共にその一部をアルミに変更。車体全体の軽量化に成功したのだ!!
しかし、重大な課題があったと古河電気工業の担当者は語る。そもそもワイヤーハーネスの端子部分は、技術的な理由から「銅」を使う必要がある。そして、アルミ部分と銅部分が水で濡れてしまうと「異種金属接触腐食」が起きてしまい、最終的には壊れてしまうのだ。
そこでこの問題を解決する為に、古河電気工業が開発したファイバーレーザー溶接技術を採用。これは水素エンジンに限らず、他の市販車にも広く応用が可能な技術だと著者は強く感じた。
今後も、水素エンジンの挑戦に注目だ!!








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