ドアの開き方と言えば、当たり前にヒンジ式だったのが、最近は後席ドアがスライドドアになっているクルマもかなり増えた。ヒンジもスライドも、一長一短あるが、側面ドア論争は両者とも生き残った。ではバックドアは? 少し遡れば、最近主流になっている跳ね上げ式以外の横開き式が目に留まる。すっかり影が薄くなってしまった横開きのバックドアにも、じつは結構良いところが多いのだ。
文:佐々木 亘/画像:トヨタ、ホンダ、スズキ
【画像ギャラリー】ランクル70の横開きバックハッチかっけぇぇ…… ジムニーやプラド、FJもやっぱ本格オフローダーは横開きでしょ!(15枚)画像ギャラリーランクルも跳ね上げ式に変わり横開きは絶滅危惧種に
横開きバックドアの代表格といえば、ランドクルーザープラドだろう。プラドは長らく横開きバックドアを採用してきた。本格四駆の証でもあった背面タイヤを装着している間はもちろん、国内仕様で背面タイヤを降ろした後も、プラドは横開きバックドアを頑なに守り続けてきたのだ。
しかしプラドの実質的な後継モデルになるランドクルーザー250は、跳ね上げ式バックドアを採用した。同じく歴代モデルで横開きバックドアを採用してきたムーヴも先代から跳ね上げ式バックドアに変わっており、新車販売をされている横開きバックドアのクルマは、ランクル70やジムニーなどの、本格オフローダーくらいしか見当たらなくなってきている。
日本国内における駐車場のサイズ感を考えると、跳ね上げ式バックドアよりも横開きの方が使いやすいシチュエーションが多い気もするぞ。横開きバックドアの魅力に、今一度触れておこうじゃないか。
ミニバンの跳ね上げ式なんか全開に出来るところ少ないよ!
実際に駐車場へいくと、クルマの後方に十分なスペースを取れないことが結構ある。後方に2mくらいの余裕がないと開けられないミニバンのバックドアだと、跳ね上げ式よりも横開き式の方が開け閉めしやすい場面が多い。
クルマ同士が密集するショッピングモールなどでは、バックドアをフルに開けて、荷物の積み下ろしをすることは非常に難しいのだ。
そこで横開きバックドアにしたらどうだろう。もちろん、片側からしか開かないとか雨が吹き込むとか、デメリットも多いのだが、狭い空間でも開け閉めできて荷物を積めるのは大きなメリット。バックドアの跳ね上がる高さを気にしなければならない、身長が低めの人も、横開きバックドアなら高さを気にしなくてもいい。
ともすると、5代目ステップワゴンに搭載されていた、跳ね上げにも横開きにもなる「わくわくゲート」は非常に良く出来たバックドアだった。バックドアが大きければ大きいほど、日本で使うなら、跳ね上げ式より横開き式の方が多くのメリットが享受できるはずだ。
横開きバックドアを採用したユーザーに優しい名車たち
ジムニー・ランクルプラド・FJクルーザーのように、本格クロカンに横開きバックドアのクルマは多い。さらにコンパクトや軽自動車でも、過去には横開きバックドアを採用するクルマが結構あった。
前述のダイハツ ムーヴは長らく横開きバックドアを採用していたし、左右非対称リアデザインが特徴的な日産 キューブも横開き。さらに三菱 トッポBJなども横開きバックドアの代表格であろう。
プリウスのようにヒンジ部分が車体側にあり、開閉時に車両後方の余分なスペースを必要としないクルマは跳ね上げ式で良い。しかし、ヒンジが車両後端にあるミニバンのようなクルマだと、当たり前のように跳ね上げ式を採用するが、実はかなり使いにくかったりもするのだ。
タテもヨコも、どちらも使ってきた筆者は横開きバックドアがお気に入りだ。消えつつある横開きバックドアの文化は、絶対に消してはならない。横開きバックドアの復活を願う。


















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