比較的お手頃でお求めやすく、生活から趣味までカバーをしてくれる軽自動車。ワゴンRもそんな軽自動車の代表格であろう。だが、新古車に相当する現行ワゴンRの中古市場がいまかなり高騰中だという。一体なにが起きているのか?
文:小鮒 康一/画像:スズキ
ワゴンRの最上級グレードが高騰しすぎ!! 新車価格より高い不思議
スズキを代表する車種のひとつであるワゴンR。初代モデルは1993年に登場し、それまでありそうでなかった「トールワゴン」というジャンルを切り開き瞬く間に人気車となったことはよく知られている。
そんなワゴンRも、近年はさらに全高を高くしてより広い室内空間を実現した「スーパーハイト軽ワゴン」の台頭によって最量販車種の座は奪われ、スズキのラインナップの中でもスーパーハイト軽ワゴンのスペーシアがその座を担っている。
このように一時期の勢いは残念ながらなくなってしまったワゴンRではあるが、中古車をチェックしてみるとなんと車両本体価格が200万を超えるものも存在しているのだ。
ワゴンRの最上級グレードでも200万は超えないのに……
ここのところ、原材料や輸送費の高騰で車両本体価格の値上がりが繰り返されている自動車業界。
ということで、ワゴンRの中古車価格が高まっているのもそういった影響がある……と思っている人もいるかもしれないが、ワゴンRで最も高額なグレードであるスティングレー「HYBRID T」の4WDモデルでも188万8700円と200万円を本来大きく下回っている。
そしてもちろんワゴンRの人気がさく裂し、受注が停止して年単位での待ちが発生している……ということもなく、プレミア人気がついているということでも残念ながらないワケだ。
ではなぜ、ワゴンRでとくに新古車のような個体の価格が高まっているかと言うと、それは海外、なかでもスリランカからの需要がめちゃくちゃ高まっているからなのである。
実は日本と同じ右ハンドル圏であるスリランカは、新車の関税が非常に高いのに対し、中古車は比較的安価だったことで古くから日本からの中古車の人気が高い地域だった。
しかし、2020年にコロナ禍の影響などもあって日本からの中古車の輸入が禁止となり、欲しくても手に入らない状態が続いていたのだが、その規制がようやく今年の2月になくなり、中古車の輸入が再開したのだ。
ただスリランカへの輸入が許される中古車は、生産から3年以内の車両に限られているほか、ハイブリッドモデルについては優遇もあるということで、もともと彼の地で人気の高かったワゴンRで、ハイブリッドモデルとなる上級グレードの需要が大爆発してこの価格になっているということなのである。
ただこのワゴンRバブルとも言えるような状況は一過性のものという見方も強く、スリランカ側も毎年のように中古車の輸入に関わる法改正を行っていることから、素人が迂闊に手を出すと痛い目に遭う可能性も大いにあるだろう。



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