OEM元のダイハツ完敗？　バカ売れしたトヨタ キャミが怪物すぎる件

　直近の新車販売台数で、ワンツーフィニッシュを飾っているライズとルーミー。彼らはダイハツのロッキーとトールのOEMモデルだが、トヨタブランドの方が圧倒的に売れている。同様のことは過去にも起きていた。それもSUVとコンパクトカーという同じ構図だ。OEM元のダイハツを大きく引き離し、売れに売れたキャミとデュエットを紹介していこう。

文：佐々木 亘／画像：

ライズの祖先!?　小さいながらも本格装備を備えたコンパクトSUV

　1999年に登場したキャミは、テリオスのOEM供給を受けて発売されたSUVだ。車名はCasual Mini（カジュアル・ミニ）の頭を取ってCAMI（キャミ）となっている。

　ボディサイズは全長3785×全幅1555×全高1760mmと、一般的な5ナンバーサイズの登録車に比べて全幅が狭い。弟分のテリオスキッドの影響が色濃く残っているのだが、これが最小回転半径4.7ｍの機動性と相まって、素晴らしい取り回しの良さを実現しているのだ。

　キャミは、キビキビ走れてクローゼット並みの収納スペースを大きな魅力として売り出していた。しかし、その中には結構本気の駆動機構が備わっている。

　搭載されているエンジンは1.3Lの16バルブEFI。縦置きエンジンで駆動方式はFRベースの4WDとなっている。2000年のマイナーチェンジでは、シングルカムのエンジンがツインカムへ進化し、FR車も追加された。

　四駆機構はセンターデフ付きのフルタイム4WDで、LSDも全車にメーカーオプション設定する力の入れようだ。センターデフのロック・フリーは、インパネスイッチでワンタッチ操作できる。

　また、ラフロードでの走破性も高く、アプローチアングルは44度、ディパーチャーアングルは37度、ランプブレークオーバーアングルは29度と本格クロカン四駆並みの実力を持つ。かわいいふりして、道なき道でも結構頼りになる存在だった。

　キャミはトヨペット店で販売され、2005年に生産終了するまで、約4万台を生産している。OEM元のテリオスが8400台程度の生産台数だから、いかにキャミが独り勝ちしていたかが分かるだろう。現代におけるロッキーとライズの構図と同じだ。

機能性に溢れたカジュアルコンパクト

　トール・ルーミーやブーン・パッソの前には、ストーリア・デュエットというOEM関係があった。デュエットは1998年に発売された、5ドアハッチバックのコンパクトカーだ。

　全長3660×全幅1600×全高1450mmという手ごろなボディサイズの中に、室内長1725×室内幅1330×室内高1165mmという大きな室内空間を生み出したのが大きな特徴。ラゲッジスペースも、コンパクトカーながら235Lという大きなものだった。

　女性ユーザーを強く意識したクルマで、デザインもさることながら室内の作り込みが徹底している。フロントシートの着座位置はヒップポイントを高めに設定することで、乗り降りのしやすさと良好な視界を確保、最小回転半径は4.3ｍと軽自動車並みの小ささを実現している。

　また、フロントドアガラスにUVカットガラスを採用したり、ステアリングやシフトノブなど手の触れる箇所には抗菌処理を施したりした。

　デュエットは本家のストーリアを大きく上回る12万台超の生産台数を記録する。この勢いは後継のパッソにも引き継がれ、現在ではルーミーがOEM元のトールを大きく引き離して、登録車販売台数の最高峰にいるところだ。

　トヨタとダイハツで同じクルマを売っているのだが、結果は決まってトヨタが優勢。販売店舗数の違いはもちろんあるが、トヨタ販売店には自社開発車には無いダイハツOEM車の良さを感じながら、丁寧に売っている様子がある。

　OEMを売れば売るほど、トヨタの販売現場は強くなっていく印象。キャミ・デュエット同様に、ライズ・ルーミーは今後の国内の登録車販売を引っ張っていく存在になるだろう。