走るシーラカンスからAMGとコラボ! ヒョンデとの共同開発まで! なにかと話題になる三菱 デボネアの数奇な軌跡!

走るシーラカンスからAMGとコラボ! ヒョンデとの共同開発まで! なにかと話題になる三菱 デボネアの数奇な軌跡!

 三菱のフラッグシップセダンとして、1964年に初代モデルが登場したデボネア。その後もモデルチェンジを繰り返し、1999年まで3世代に渡って生産されたのだが、フラッグシップセダンというキャラクターこそ一貫しているが、スタイルは大きく異なっていた。今回はそんなデボネアの歴史を振り返ってみたい。

文:小鮒 康一/画像:三菱、ベストカーWeb編集部

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三菱系企業の御用達となったデボネア

初代デボネア。きっとデボネア自身も生まれてきたときは、20年以上現役でシーラカンス扱いされるなど想像もしていなかったであろう
初代デボネア。きっとデボネア自身も生まれてきたときは、20年以上現役でシーラカンス扱いされるなど想像もしていなかったであろう

 1964年に初代モデルが登場したデボネアは、他メーカーの2Lクラスの上級セダンに対抗するために生み出されたもので、そのスタイルはアメ車を思わせる堂々としたものとなっていた。

 そのため、単体でみるとアメ車のように非常に大柄なボディを持っているかのようにも思えるが、実はボディサイズは5ナンバーサイズに収まっており、排気量も2000cc以内に収まっていたため、紛れもなく5ナンバーセダンだった(1976年のマイナーチェンジで2.6Lエンジンを搭載し3ナンバーとなるが)。

 そんな初代デボネアだったが、残念ながらライバルの同クラスの車両には販売面で上回ることはできず、かといって三菱系のグループ企業の重役車として一定の需要があったことで終売させるワケにもいかず、改良を繰り返しながら結局22年にも渡る驚異的なモデルライフを送ることになったのである。

生きた化石も2代目になれば常識的な寿命に?

なんと2代目はAMGとコラボまでした。いまから見れば2代目デボネアはちょっと不思議な存在だったともいえるだろう
なんと2代目はAMGとコラボまでした。いまから見れば2代目デボネアはちょっと不思議な存在だったともいえるだろう

 そして1986年にようやくフルモデルチェンジを実施したデボネアは、車名を「デボネアV」と改め、エンジンも直列6気筒からV型6気筒に、そして駆動方式をFRからFFへと大きくキャラクターを変えていた。

 デザインも当時の主流となっていた直線基調のオーソドックスなものとなり、ドイツ(当時は西ドイツ)のチューニングメーカーであった“AMG”や、イギリスの高級アパレルメーカー”アクアスキュータム“とコラボした仕様をリリースしていたのも初代と大きく異なる点だと言えるだろう。

 この2代目となるデボネアVはおよそ6年と常識的なモデルライフを全うした後、1992年に3代目へとフルモデルチェンジ。このタイミングで車名は再び“デボネア”に戻されている。

 3代目モデルではそれまでの5ナンバーサイズのボディから3ナンバーサイズへと大型化がなされており、メカニズム的にはスマッシュヒットを記録した初代ディアマンテと共有する部分も多くなっていた。

ちょっとした時代の先取り? ヒョンデとの共同開発

1992年登場の3代目。この後継となるプラウディア/ディグニティは短命だったこともありデボネアの系譜はとことん数奇な運命を辿った
1992年登場の3代目。この後継となるプラウディア/ディグニティは短命だったこともありデボネアの系譜はとことん数奇な運命を辿った

 ただ、ディアマンテに設定されていた4WDモデルはなく、エンジンも一段階排気量の大きいV6 3.5Lを搭載(のちに3Lモデルも追加)。

 「ディスタンスウォーニング」と名付けられたレーザーセンサーによって前走車との車間距離をキープするいわゆるアダプティブクルーズコントロールを世界で初めて乗用車に搭載するなど、先進装備も多く備わっていた。

 一方デザインは、直線基調な2代目とは打って変わって丸みを帯びたものに変えられ、時代に即した変更がなされたと言えるだろう。

 なお2代目モデル以降は韓国のヒョンデと共同開発がなされており、彼の地では同社の高級セダンとして高い人気を誇っていたため(実質的後継車種のプラウディアも同様)、デザインにもその影響が出ていたのかもしれない。

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