2025年4月に韓国で開催された「ソウルモビリティショー」。各国メーカーが参加する同ショーに出展された、韓国の現代自動車グループ(ヒョンデ)の最新BEV『アイオニック9』に試乗した。日本未上陸の旗艦BEVの全貌をレポートする!!
※本稿は2025年6月のものです
文:大音安弘/写真:大音安弘、ヒョンデ
初出:『ベストカー』2025年7月26日号
北米や欧州をターゲットにしたフラッグシップ電動SUV
ヒョンデBEVのフラッグシップとなる「アイオニック9」は、2024年11月に発表された3列シートの大型SUVだ。新たな世界戦略車として、韓国だけでなく北米や欧州にも投入される。
そのスタイリングは、アイオニックらしい未来的かつスポーティな雰囲気を放つもの。ただ王道的なSUVのフォルムなので、奇抜すぎず、誰もが受け入れやすいデザインとなっている。
室内は、全長5m×全幅2mの大型ボディを活かした広々したもので、最新EVらしいデジタル機能を充実させながらも、飽きのこないシンプルさと高い質感を兼ね備えた空間とした。
駆動方式は、1モーターのRWDと2モーターのAWDを用意。床下に110.3kWhのリチウムイオン電池を搭載することで、全仕様で500km以上の航続距離を確保する。
試乗車は、最上位グレード「カリグラフィー」の21インチ仕様で、オールシーズンのミシュランプライマシーツアーA/Sを装着。
ソウルの市街地を走ってみたが、その味わいは大排気量のアメリカンSUVを彷彿とさせるものだった。
サスは、路面からの突き上げをしっかりと吸収し、肉厚なソファーで寛いでいるような快適さがある。ステアリングフィールも、しっとりした味付けだ。
もちろん力強い加速は得意だが、過度なものではなく、大排気量エンジン車のような特性なので、扱いやすい。停車時と走行中ともに静粛性が高いので、長距離移動でも疲れにくいだろう。
意外だったのが、デジタルミラーの視認性のよさ。モニター位置が適正で、視線移動も楽チン。ぜひ夜間の実力も試してみたかった。
BEVらしさよりSUVの魅力を追求したと思われるアイオニック9。個性的だが華のあるスタイリング、大きさを忘れる運転のしやすさ、SUVらしい高い快適性など全方位で印象がよいので、日本の地でも試乗してみたいと思ったほど。
現地価格帯は800万円台と高価なこともあり、日本導入は難しいだろう。ただ商品力は高いので、欧米での評価に注目したい。
エクスペリエンスセンターでヒョンデのパフォーマンスを体感!
韓国最大のトラックを有するHMGドライビングエクスペリエンスセンターは、ヒョンデ、キア、ジェネシスの3ブランドの車両を用いて、さまざまなドライビング体験を提供する施設だ。
広大な敷地には、ドライハンドリング路や高速周回路、オフロードコースといった8つの走路を備える。
今回は、アイオニック5Nを用いたドリフト走行レッスンを体験。半日のレッスンでは、ステアリングやペダルの基本的な運転操作や後輪駆動モードによる定常円旋回など体験。
驚いたのは、韓国人インストラクターが、流暢な日本語で対応してくれたこと。アドバイスも的確で、もっとレッスンを受けてみたいと思ったほど。
同乗走行では、ウェットハンドリング路で華麗な連続ドリフトも披露。BEVスポーツの実力と面白さをしっかりと体験できた。
クルマ好きには、お薦めできる自動車施設なので、韓国旅行の際は、ぜひプランに加えてみてほしい。




























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