日本ならではのクルマと言ったら、軽自動車への言及を避けることはできないだろう。小型で低排気量、南北に細長い島国にちょうどいいのか、いや、そんな日本だからこそ小排気量で小型の軽自動車という独特なジャンルが発展を遂げた。ただ、そのせいかこの国はどうも「やる気」ありすぎる軽をなぜか必ず作ってしまう傾向がある。今回は、その中のひとつホンダの2代目Zを紹介する。
文:小鮒康一/画像:ホンダ
【画像ギャラリー】なぜ日本はぶっ飛んだ軽を作ってしまうのか!? パワー競争してた初代ホンダZ&ロマンしかない4シーターなミドシップ4WD軽の2代目Z! (23枚)画像ギャラリー忘れちゃいけないもうひとつのZ!
“Z”と聞いて多くの人が脳裏に思い浮かべるであろう車種は、日産が世界に誇るスポーツカーである「フェアレディZ」だろうが、もうひとつZの名前を持つ車種が存在していた。それがホンダの「Z」である。
1970年に初代モデルが登場したホンダZは、当時のベーシック軽であったN360をベースにスタイリッシュなクーペボディを与えたもので、大きな窓枠を備えたリアハッチガラスから「水中メガネ」の愛称でも親しまれた。
そんな初代Zは1974年に終売となったのだが、そこから24年後の1998年に突如、クロスオーバーSUVとして復活したのである。
「UM-4」と名付けられた革新のプラットフォームを採用した2代目
1998年10月に実施された軽自動車規格の改訂に合わせて登場した2代目Zは、初代とは全く異なるクロスオーバーSUVスタイルで登場しており、同じタイミングで登場した3代目ライフと共に「K・ムーバー」シリーズとされていた。
そんな2代目Zの最大の特徴は、「UM-4(UNDERFLOOR MIDSHIP 4WD)」と名付けられたプラットフォームで、その名の通りエンジンをフロア下ミドシップに搭載し、4輪を駆動するというもの。
エンジンなどをフロア下に押し込んだことによって軽自動車の限られた全長を室内長に充てることができるようになっただけでなく、前後重量配分も50:50と理想的な数値とすることで高い運動性能も持ち合わせることができたとされていたのだ。
しかもエンジンは縦置きレイアウトを採用し、前後に伸びたドライブシャフトをそのままプロペラシャフトにして4WD化するという画期的なものとなっており、まさに唯一無二だったのである。
どう考えても気合い入りすぎだろ!!!!
ちなみに市販されたZは4速ATのみのラインナップとなっていたが、開発段階では5速MTの採用も検討されていたというから、もし実現していたらより多くのコアなファンを獲得できていたかもしれない。
このように非常に個性的かつ手間ひまの掛かったモデルであったZだが、当時としては高額な車両価格や、3ドアしか設定がなかったことなどもあり、販売面では苦戦が強いられてわずか4年弱で終売となってしまった。
Zは4人乗りとすることや室内空間を広く採れることをアピールするためにもクロスオーバーSUVスタイルとなっていたが、このUM-4プラットフォームを使用したミドシップ軽スポーツなどが生まれていたら……と思わず妄想してしまったのは私だけではないハズだ。


























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