2025年10月15日、スズキの人気本格四輪駆動車「ジムニー」と「ジムニー シエラ」が一部仕様変更となった。外観やエンジンには手を加えず、見た目はこれまで通り。しかしその中身は、安全装備を中心に確かな進化を遂げている。見た目そのまま、中身激変となった「ジムニー」そして「ジムニーシエラ」の詳細をご紹介しよう。
文:立花義人、エムスリープロダクション/写真:SUZUKI
【画像ギャラリー】見た目そのまま、中身激変!安全性能が大幅アップしたスズキ「ジムニー」と「ジムニーシエラ」(18枚)画像ギャラリーより安心で快適に!ADASが最新仕様へ進化
今回のジムニー/ジムニーシエラの一部仕様変更における最大のトピックは、最新の「スズキ セーフティサポート」を採用したことだ。衝突被害軽減ブレーキは、従来の単眼カメラ+レーザーレーダー方式から、ステレオカメラとミリ波レーダーを組み合わせた新構成「デュアルセンサーブレーキサポートII」へと進化。歩行者や自転車の検知精度が大幅に向上し、昼夜を問わず高い安全性を確保する。
さらに、アダプティブクルーズコントロール(ACC、4速AT車は全車速追従機能付き)、車線逸脱抑制機能、標識認識機能など、これまで非搭載だった先進機能も新たに追加。特にACCの採用は大きな進歩で、長距離ドライブや渋滞時の疲労軽減に大きく貢献してくれる。街乗りでも安心感が増し、「毎日使えるジムニー」へと進化した印象だ。
外観やパワートレインはそのままでも、「変わらない魅力」が光る
その他、エクステリアデザインやインテリア、パワートレインは従来どおりの設定で、スクエアで無骨なフォルムはそのまま、ボディカラーやホイールデザインの追加もない。
メーターやスイッチ、ディスプレイオーディオなどの仕様も従来どおりで、パワートレインも従来どおり、ジムニーが660cc直列3気筒ターボ(R06A型)で、ジムニーシエラが1.5L直列4気筒自然吸気(K15B型)。どちらも5速MTとATを選択可能で、パートタイム4WDと副変速機の組み合わせも健在だ。燃費や出力にも変更はない。
変わらずに「らしさ」を貫くことが魅力でもあるジムニーにとっては、これが正解。豊富なアフターパーツが揃っているジムニー/ジムニーシエラは、メーカー側がコストをかけてデザインを変更する必要はなく、ユーザー自身が思い思いのスタイルをつくり上げられる「素材」を提供できれば十分なのだ。「変わらないこと」を大切にしながら、安全性能だけを最新化する――まさに「ぶれないジムニー」の哲学を感じさせる仕様変更だ。
価格上昇は「確かな実力の底上げ」
もちろん、頑丈なラダーフレーム構造、3リンクリジッドアクスル式サスペンション、副変速機付きパートタイム4WDといった基本骨格も従来どおり。悪路走破性はもちろん、ボディ剛性の高さも健在だ。
一方でADASの刷新により、高速道路や市街地での安心感が格段にアップ。オフロード性能とオンロードでの快適性がより高い次元で両立されたことで、アウトドア派だけでなく、日常使いを重視するユーザーにもおすすめしやすい仕上がりとなったといえる。
ただ価格は、ジムニーが191万8,400円〜216万400円、ジムニーシエラが227万1,500円〜238万5,900円と、従来比でおよそ5〜10万円のアップとなった(5速MTと4速ATでの価格差はない)。ただ、最新ADASを標準装備とした今回の改良の内容を考えれば、値上げというよりも「総合力の底上げ」と捉えるべきだろう。
また、ジムニーはもともと高いリセールバリューを誇る車種であることを考えると、今回の改良で中古市場での評価がさらに高まる可能性もある。安全性能が向上し、維持費や資産価値の面でも魅力が増したことは、ユーザーにとってうれしい改良だろう。
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最新の安全技術を得たことで、オフロード性能はそのままに、日常での安心感と快適さが大きく向上したジムニーとジムニーシエラ。価格は上昇したが、そのぶん価値は確実にアップしている。伝統を守りながら時代に寄り添う。ジムニーはまたひとつ、完成度を高めたといえるだろう。
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