ランクルFJから70・250・300まで、ランドクルーザーに与えられた使命、それは「陸の王者」であり続けること。トヨタ最上位SUVとして、ランクルが上質でありジェントルであること。そのきっかけを作ったのは、ランドクルーザー・シグナスであろう。四半世紀前、高級SUVというジャンルを作り出した、ランドクルーザー・シグナスの功績を辿っていく。
文:佐々木 亘/画像:トヨタ
【画像ギャラリー】ランクルを高級車に引き上げたシグナスの功績を辿る(17枚)画像ギャラリーLXのバッジエンジニアリングとしては安すぎたシグナス
1998年から2007年まで活躍したランドクルーザー100。トヨタはこのシリーズの中で、独立した1つの車種を登場させる。それがランドクルーザー・シグナスだった。
当時のニュースリリースではランクル100の新設定グレードとして取り扱われていたが、シグナスだけで1冊のカタログを作り、丁寧に魅力を説明していく様子は、単なるグレードの追加とは思えない扱いだ。当時のランドクルーザーが500万円以下の販売価格だったのに対し、シグナスのメーカー小売り希望価格は515万円。最終型では583万8000円にまで上がり、シグナスは強いて言うとクラウンマジェスタのようなクルマであったことがうかがえる。
シグナスは、当時のレクサスLXのバッジエンジニアリングだ。そう考えると、国内での販売価格はお買い得すぎたようにも思う。現在は1000万円を超える価格で販売されているレクサスLX。これとほぼ同じものが、トヨタエンブレムで600万円や700万円で買えるとしたらどうだろう。当時、シグナスを様々な人が飛びつくように購入していった理由がよくわかる。
そして現在でも走行距離10万km以下の個体は、中古車市場で400万円近くの価格で取引されているのだ。今も昔もシグナスは高級車なのである。
シグナスはオフロード界のセルシオ
4灯ヘッドランプに逆台形のフロントグリル。室内に入れば、丹念になめした本革シートが体を包み込み、本木目のインテリアが格式の高さを伝えてくる。シグナスは一目見れば忘れないデザインと、脳裏に焼き付く圧倒的な車内空間を作り上げていた。
その権威は、ランドクルーザー100が幕を下ろし、200系が現行型となった2007年以降も続く。シグナスに乗っているということは、200系を含めたランドクルーザーの頂点にいるということ同義で、そのステータス性は圧倒的なモノだった。これは、国内レクサスがLXを販売するようになるまで、続いていたように思う。
ランクルの走破性はそのままに、内外気2層システムや天井埋め込みリヤクーラーダクトといった快適装備を備え、振動や騒音の室内への進入防止と高回転域での排気抵抗を低減する可変機構付大容量メインマフラーを採用するなど、1998年当時では考えられないような装備が並んでいる様子は、ただただ見惚れるばかり。
オフロード界のセルシオと呼ばれていたのも、納得の仕上がりである。
今のLXにも復活して!これぞシグナスという装備たち
アクティブ・ハイト・コントロール・サスペンション(AHC)やバリアブル・ギヤ・レシオ・ステアリング(VGRS)など、現行型のLXにも継続採用されているシグナスの装備類。ただ、現行型のLXでは見当たらない、シグナスらしい装備も数多くある。
その最たる例が、リアクォーターガラスのパワーウィンドウだ。そもそも現行型のLXにはリアクォーターガラスが存在しないのだが、ここが開閉することが、筆者は一番シグナスっぽさを感じる部分である。
また、夜間走行時にドライバーの視覚をサポートする「ナイトビュー」という装備もあった。現在は30万円弱で搭載できるマークレビンソンサウンドシステムも、シグナス搭載当時は税抜きで61万8000円もするオプションだったのだ。車両本体価格の9分の1もするオプションが設定されていたのも、シグナスらしさの一つである。
LXはもちろんだが、ランクル300がシグナスの方向を向いて、シグナスが復活しても面白そう。国内市場のSUV人気は、シグナス復活でさらに勢いを増していきそうだ。ランクルFJ登場なら、トヨタブランドでシグナス復活にも期待したい。




















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